焼きもち? ページ33
お店を出た私たちはぶらぶらと通りを歩いていく。
休日だからか、辺りは人通りが多い。
その為、中々先に進めないどころか人の波に流されそうになることもある。
「お兄さん1人〜?良かったらウチらと一緒にまわろうよ?」
そんな声がして隣を見れば、悟がそうやって先ほどから女の子に声を掛けられている。
それに対して笑顔で対応する悟。
「………。」
こんなにちやほやされてる悟だけど、彼女たちが悟の本性知ったら驚くだろうな。
ってか、悟のヤツ顔がイイってだけで何でこんなに声掛けられてんのよ。
段々イライラしてきた私だけれど、途中で悟が私を見てくるようになった。
「?」
なに?
モテる自慢でもしたいわけ??
ムッと私の顔が険しくなっていく。
………、いや、違うな。
よく見たら悟のこれは取り繕ってる顔だ。
そんなに嫌ならさっさと追い払いなさいよ。
「悟、置いてくわよ!」
イライラを隠しきれないまま私は悟に声をかける。
すると、悟に話しかけていた女の子たちがこちらを振り向く。
「つーわけで、ツレ待たせてるからまた今度ね」
なんて丁寧に返している悟。
何ヘラヘラしてんの!?
こんなヤツ知らない!
そう思った私は悟に背を向けて歩き出す。
ってか、私も何で悟なんかにイライラしてんのよ。
そう思った時、思い出したのは午前に見た映画だった。
主人公の女の子が相手の男の子が他の女の子と楽しそうにしているところを見て、怒って帰っていったシーンがある。
あれ?
もしかして、私のこれって………
焼きもち?
そう思った時、ポンッと肩に手が乗せられた。
「っ!何よ。さっきの女の子たちと楽しく話してたんじゃなかったの!?」
早口に告げて勢いよく振り返る。
「って、………え?」
けれど、そこにいたのは悟じゃなくて知らない二人組の男だった。
てっきり悟だと思っていた私は驚きで固まる。
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作者名:月見 | 作成日時:2022年11月8日 22時