2005年─12月1日 乙女心と男心 ページ20
「寒い…」
教室の自席の椅子の上。
体育座りをして冷えた体を温めながら呟いた私の言葉に傑が頷く。
「もう12月だからね」
「A、さっき自販機で買ってきたココア飲む？」
「飲む！！ありがとー！硝子！！」
天使のような言葉に全力で頷いて、硝子から暖かいココアを受け取った。
「そんなに寒ぃなら前に履いてた長いスカートに戻したらどうだ？」
隣からそう聞こえてきて、クルッと振り向いた私は「はぁ！？」と声を上げる。
「あんなダサい格好二度とするわけないでしょ！？」
言い切ったあと、ふん！と顔を背ける。
「あーぁ」と硝子は呆れ顔だし、傑は溜め息を付く。
「悟、乙女心を分かってないね」
「はぁ？“寒い”っつたのはAだろ」
「前にも言ったけど、いつまでもそんな態度だと、Aにそのうち本気できら──」
「だぁーーーっ！！！煩ぇ！！！！！」
傑が何か言おうとしていたのを遮って悟が大声をあげた。
「もーっ！何！？急に大きな声だして！！」
耳を塞ぎながら、眉を歪めてジトッとした視線を悟に向ける。
「ほら見たことか」
それを見た傑がニヤリと笑う。
え。何？
「…あのさ、傑。何かよく分かんないけれど、何が面白いの？」
尋ねると悟が少し低めの声で「A、ちょっと黙ってろ」と傑から視線を逸らさずに言った。
あ、このパターンは喧嘩でも始めるつもりだな………
「程々にしなよー」
棒読みで告げて私は教室の後ろに避難する。
硝子はと言うと、いつも通り雰囲気を察知してピューンと教室から逃げ………
「A、行くよ」
「え？」
硝子がまだ逃げてなかった。
ぱちくりと瞬きする私の手を取って、今度こそ硝子が教室から逃げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月見 | 作成日時：2022年11月8日 22時
