こんなモテ期はノーセンキュー【鬼滅の刃】

ノーセンキュー.26 ページ29

「......ありがとう。僕、すっごく嬉しかった...あ、がとうっ...」





女の子の手を握って泣きじゃくる翔大くんは、あの時の炭治郎くんと重なった。

もう少し早く来ていれば、もう少し早く女の子と出会えていたなら、もう少し早く...鬼殺隊になれてたなら翔大くんは泣かなかったし、女の子も死んでいなかった。

後悔ばかりするのが、鬼殺隊なんだろうね。





「......お姉さん...」


『ん？』


「ありがとう...僕と一緒に探してくれて....」


『...どういたしまして。さ、帰ろうか』





助けられなくてごめんねとは言えなかった。あんな悲しそうな笑顔でお礼を言われて謝ることが出来ないよ。


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「ここで大丈夫だよ」





初めて会った桜の木まで来たら翔大くんは私の手を離した。
私としては家まで送りたいけど、本人が言ってるなら無理強いも出来ない。何より可愛いショタだもの。





『気をつけてね』


「うん！お姉さんも！あ、そうだ。これあげる！」


『可愛い髪飾りだねぇ。いいの？』


「うん。僕が作ったんだ！」





それはスゴい。めちゃくちゃ器用だね。これ商品に出せるレベルだよ。

一個の桜にヘアピンが着いてる。あのほらパチンッじゃなくて、スッて髪に差す奴。何でこの時代にあるのか不思議だけど...あ、木製で出来てる。触り心地がすべすべ。桜もこの木みたいに綺麗な桃色だ。

翔大くんから貰ったヘアピンを耳に掛けていた髪を抑える様に差した。





「お姉さん可愛い！」


『そう言う翔大くんが可愛い』





翔大くんの頭を撫でて『じゃあね』って言ったら翔大くんも「じゃあね！」って笑顔で返してくれた可愛いすぎ。









風が強く吹いて桜の花びらが舞った。夜桜の中で翔大は泡沫の様に消えた。

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