苦手意識とお節介 ページ8
「…」
「…」
目が、合った。
お昼休み。及川のところへ行く前に、外にあるあまり使う人が少ない自販機で飲み物を買って、受け口に落ちたペットボトルを手に取って後ろを向くと、冷えた目とばっちりと視線が絡んだ。
どちらとも、逸らそうとしない。
とても同い年とは思えないほどの大人びた顔立ちをした男がそこにいた。
「な、なに」
「いや?」
変に真剣な引き攣った表情をした私の問いに、真顔で淡々とした返事をした彼は、花巻と一緒にいるところを見ることが多いバレー部の松川。
松川とは一年の頃に同じクラスだったが、クラスでも際立って苦手な部類の人間だった。
表情が乏しくて何を考えているのかわからないし、時折蔑むような目で私のことを見てくるんだ。
まるで女子の輪に入れない半端者の私を見下しているような。
今も、冷めた目からはそんな侮蔑を感じる。
私はそんな彼の視界から逃れるように、足早にこの場を立ち去ろうと一歩前に出た。
「お前、可哀そうだな」
松川を横切って背中に向けられた言葉に、私は足を止めた。
「はっ、なにが」
肩越しに松川を振り返ると、彼はこちらを見てはいなかった。
「誰にも相手にされなくて」
ざっと靴と地面が擦れる音を鳴らして松川を見るけど、彼はそんな私を気にも留めない様子で自販機に小銭を入れた。
「余計なお世話」
右手に握ったペットボトルのキャップに力がこもった。
松川の言う ‛誰にも’っていうのは、多分 ‛女子’の括りのことを言っているのだと思う。
誰から見ても私がクラスで一人、浮いていることは一目瞭然。
それは松川と同じクラスだった一年生の頃から変わっていないのだから。
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いおり - 道徳の教科書に載ればいいのにぃ!!泣くことしか出来ませんが…凄く素敵な作品で本当に号泣しました!!1日で全部読ませて頂きましたがここまで素晴らしい小説は今までで一番だと思います!! (2020年12月9日 15時) (レス) id: 5e524467c0 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 本編は全て夢主目線なのに他の登場人物の感情も伝わってきて、切なくなりました。作者様の描写が繊細だからこそ、読み手にしっかり伝わるのだと思います。番外編でまた深く心情が知れて切なくなりました。特にマッキーがかなりグッときました。すごく素敵な作品でした! (2020年6月22日 9時) (レス) id: 2f4dc25fc0 (このIDを非表示/違反報告)
おかか - めっちゃ面白かったです!一人一人の言動の真意とかしっかり話が作られていて、リアルで凄いです! (2020年6月21日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
ルーテル(プロフ) - 今まで読んだ占ツク作品で1番好きかもしれません…1人1人の心情がリアルでぐちゃぐちゃなのに真っ直ぐな恋心がとても心地いい作品でした!マッキーの切なさが一番心に来ました…いい作品をありがとうございました! (2020年5月31日 22時) (レス) id: 98b39f25a9 (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 泣いた...岩泉夢主さん好きなのかなぁ?は勘違いか...もうカッコよすぎ...ごちそうさまですっ (2020年1月13日 12時) (レス) id: 538cc2e76e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鈴 | 作成日時:2019年10月17日 21時