松川の心情証明 ページ47
「ねーねー、まっつん。聞いてよ」
掃除当番で廊下を箒で掃いていると、ふらふらとした足取りの及川が現れた。
どうせA絡み何だろうな。めんどくさそうだ。そう思いながら及川の足元目掛けて箒を伸ばす。
「ちょっ！なにするのさまっつん！俺はごみじゃないよ！」
「で、なに」
俺の行動についてなのか、それともこれから話すことについてなのか、及川が不服そうに頬を膨らませた。お前がやっても可愛くねえよ。本当にコイツのことが好きなアイツの気が知れない。
「最近金田一がさ」
「違うのかよ」
及川の口から出た名前に、俺は突っ込まずにはいられなかった。てっきりA関係のことだとばかり思いこんでたけど。
明らかに不自然な俺の反応に、及川が首を傾げながら話を続ける。
「金田一が俺に内緒でAに牛乳パン渡しちゃってんの」
やっぱりそうだよな。Aのことだってことは訊かなくても予想していた。
「Aに渡すなら俺にも渡すべきじゃない？俺先輩だよ？」
「一応、な」
つうかそこじゃないだろ。
「金田一、Aのこと絶対好きだよ」
「なんでそう思うんだよ」
「わかるよ。可愛いもん」
俺は半ば呆れて息を吐く。こういうの、何馬鹿って言うんだろう。
それでも及川は、腕を組んで真剣な表情で悩んでいるようだった。
何を悩む必要があるんだ。アイツが好きなのはどう考えたってお前だよ、及川。
暫く学年中を騒がせたAと俺のクラスの女子の取っ組み合いの喧嘩には、正直度肝を抜かれた。
俺が知っているアイツは、及川以外の他人には干渉しない奴だと思っていたから。
いつ見ても一人で、同性の友達を作ろうとしないAは、及川さえいればいいとでも言うようだった。
だから余計心配になったし、可哀そうだとも思った。
同情。
無駄にプライドの高そうなアイツは、その言葉を向けたら怒るんだろうけど。
「ねー、聞いてる？まっつん」
「別によくないか。お前ら付き合ってるわけじゃないんだし」
俺が核心的なところを突くと、及川が「う、」とわかりやすく言葉を詰まらせた。
「もたもたしてたら取られるぞ」
俺の言葉に反発するように、及川が声を高らかにした。
「大丈夫だし！Aは俺のこと好きだし」
「だろうな」
俺のこの同情とか心配って、及川とAにとっては、余計なお世話ってやつなんだと思うけど。
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いおり - 道徳の教科書に載ればいいのにぃ!!泣くことしか出来ませんが…凄く素敵な作品で本当に号泣しました!!１日で全部読ませて頂きましたがここまで素晴らしい小説は今までで一番だと思います!! (2020年12月9日 15時) (
レス) id: 5e524467c0 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 本編は全て夢主目線なのに他の登場人物の感情も伝わってきて、切なくなりました。作者様の描写が繊細だからこそ、読み手にしっかり伝わるのだと思います。番外編でまた深く心情が知れて切なくなりました。特にマッキーがかなりグッときました。すごく素敵な作品でした！ (2020年6月22日 9時) (レス) id: 2f4dc25fc0 (このIDを非表示/違反報告)
おかか - めっちゃ面白かったです！一人一人の言動の真意とかしっかり話が作られていて、リアルで凄いです！ (2020年6月21日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
ルーテル(プロフ) - 今まで読んだ占ツク作品で1番好きかもしれません…1人1人の心情がリアルでぐちゃぐちゃなのに真っ直ぐな恋心がとても心地いい作品でした！マッキーの切なさが一番心に来ました…いい作品をありがとうございました！ (2020年5月31日 22時) (レス) id: 98b39f25a9 (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 泣いた...岩泉夢主さん好きなのかなぁ？は勘違いか...もうカッコよすぎ...ごちそうさまですっ (2020年1月13日 12時) (レス) id: 538cc2e76e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年10月17日 21時
