放課後の不幸 ページ11
放課後、見回りに来た先生の声にハッとして、机に突っ伏していた顔を上げた時には、もう外は暗かった。最終下校の時間はとうに過ぎていた。
私は慌てて階段を降りて昇降口を出る。
部活終わりの及川の姿が見えた瞬間、今日はついてるって思った。
「及川！」
叫んで走ると、私に気づいた及川が名前を呼んで「どうしたの」と驚いた表情をして足を止めた。
及川の数歩先では、ポケットに手を突っ込んだ岩泉がこっちを見ている。
偶然を装って及川に駆け寄る。いや今のは訂正しよう。装わなくても本当にたまたまだ。
でもきっとみんな、私が計画的に時間を合わせたとか、そういう風に思っちゃうんでしょう？
「及川、見つけたから」
「いやそうじゃなくて、こんな遅くまで」
及川の言葉に「あー」なんて誤魔化す。
寝てたというのも格好付かないし、でも今更及川に格好つけてもな。勉強だなんて嘘がバレバレ。とっくに最終下校時間は過ぎているのに不自然な話だし。
なんてことを考えていると、こちらに足を寄せた岩泉が間髪入れずに口を開く。
「どうせ寝てたんだろ」
小さく息を吐く岩泉に、私がわかりやすく顔を歪めると及川が「あ、そういうことね」と目を細めて笑った。
岩泉の何とも言えない威圧感には、戸惑いを隠せずにはいられない。
それでもって、いちいち癪に障る言い方。
「なぁんだ。俺のこと待っててくれたと思ったのに、残念」
肩を落とした及川に、私は数回瞬きをする。
もう本当に及川にはまいっちゃう。これを素で言っているのなら尚更のこと。
だんだんと早まる鼓動に、期待してしまう。
「じゃ、一緒に帰ろうか？」
及川の私に向ける優しい目は相変わらず健在。
やっぱり私に安心感を与えてくれるのは及川だ。
そして期待させてしまうのもまた、及川だ。
いいよね岩ちゃん、と及川が言うと岩泉は私を一目して少し顔を顰めたのち、短く返事をした。
そんな露骨に嫌そうな顔しなくてもいいじゃない。
「おーい、及川」
数歩前を歩く岩泉の後ろについて校門を出る寸前で、隣を歩いていた及川を呼ぶ声が後ろから聞こえた。
振り返ると及川に向けて手を上げた花巻と、その隣には松川がいた。
花巻が私の姿を認めるなり、バツの悪い顔をした。
「なに？」
「あーいや」
首を捻る及川に、花巻が何かを言いたげにチラチラ私を見る。
私、外した方がいい？
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いおり - 道徳の教科書に載ればいいのにぃ!!泣くことしか出来ませんが…凄く素敵な作品で本当に号泣しました!!１日で全部読ませて頂きましたがここまで素晴らしい小説は今までで一番だと思います!! (2020年12月9日 15時) (
レス) id: 5e524467c0 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 本編は全て夢主目線なのに他の登場人物の感情も伝わってきて、切なくなりました。作者様の描写が繊細だからこそ、読み手にしっかり伝わるのだと思います。番外編でまた深く心情が知れて切なくなりました。特にマッキーがかなりグッときました。すごく素敵な作品でした！ (2020年6月22日 9時) (レス) id: 2f4dc25fc0 (このIDを非表示/違反報告)
おかか - めっちゃ面白かったです！一人一人の言動の真意とかしっかり話が作られていて、リアルで凄いです！ (2020年6月21日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
ルーテル(プロフ) - 今まで読んだ占ツク作品で1番好きかもしれません…1人1人の心情がリアルでぐちゃぐちゃなのに真っ直ぐな恋心がとても心地いい作品でした！マッキーの切なさが一番心に来ました…いい作品をありがとうございました！ (2020年5月31日 22時) (レス) id: 98b39f25a9 (このIDを非表示/違反報告)
モンブラン♪@アップルパイも捨てがたい(プロフ) - 泣いた...岩泉夢主さん好きなのかなぁ？は勘違いか...もうカッコよすぎ...ごちそうさまですっ (2020年1月13日 12時) (レス) id: 538cc2e76e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年10月17日 21時
