たこ焼き ページ30
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「体、もう大丈夫なんですか」
俺は木兎さんと音駒二人の後ろでAさんと並んで歩く。
「お陰様で」
あの時はありがとう、と頭に手を当てて笑うAさんに、俺は「良かったです」と返す。
「あの日の記憶あんまりなくて。私変なこと言ったりしてなかった…？」
その言葉に、保健室での出来事が薄っすら脳裏に浮かぶ。
覚えていない、のか。悲しいような、寂しいような。
「何も」
良かったとホッとしたように笑う。あのことは、胸の内に秘めておくことにする。
「赤葦」
呼ばれ、前を歩く木兎さんに並ぶと後ろでAさんと黒尾さんが話している声が聞こえるが、人混みの他の会話にかき消されて何を話しているのかまではわからなかった。
そういえば、木兎さんもAさんも高校生活最後の学校祭なんだな。
年が明けて数か月後には卒業。
このままで、いいのだろうか。
と、並んでたこ焼きの最後の一個を取り合う二人を見て思う。
Aさんがやけに必死だ。あの人そんなにたこ焼き好きだったっけ。
黒尾さんが仲裁に入り、孤爪がスマホを片手に目を細めている。不思議な面子。
そんなことを考えながら、俺はたこ焼きを買った。
「赤葦」
呼ばれて振り返ると、プリン頭の孤爪がいた。
「孤爪も、たこ焼き食べる？」
「いらない」
「え、じゃあなに」
「あの人」
孤爪が指さしたのは、いまだにたこ焼きを取り合って揉めているAさん。
「クロが、可愛いって言ってた」
「…」
「赤葦、顔怖い」
孤爪の言葉に、俺はたこ焼きを奪い合う二人に近づく。
黒尾さんはもう仲裁を諦めたようで、その様子を壁に寄りかかって楽しそうに眺めている。
「な、なんだ赤葦！」
「まさか赤葦もたこ焼き食べたいの！？」
「違います」
「じゃあ何でそんな怖い顔してんだ…ってそれたこ焼きじゃん！あかーし俺に買ってきてくれたの！？」
「違います」
俺は買ったたこ焼きをAさんに渡すと、二人が驚いたように俺を見る。
「え、私に！？赤葦私にくれるの！？」
「はい」
横目で黒尾さんを見ると、まだ楽しそうに肩を揺らして不気味な笑みを浮かべてる。怖。
「ありがとう！」
いただきます、と手を合わせ早速たこ焼きを頬張るAさんは幸せそう。
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凛々 - 赤葦と夢主の掛け合いが素敵…。甘さが私に合いすぎです！続きが気になって仕方ないです。 (2019年11月8日 20時) (
レス) id: df09ac0ca3 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 39話以降のタイトルのセンス良すぎでは…。全話タイトルつけてほしいくらいです。。。 (2019年9月23日 18時) (レス) id: c3e4fd17c8 (このIDを非表示/違反報告)
madoka - コメント失礼します。小鈴さんの作品は「これぞ純愛！」って感じがして、穢れが一切ない感じがたまらなく好きです！今回もいい感じのキュンキュンありがとうございます！番外編と続編も楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2019年9月20日 13時) (レス) id: b7f00b86d0 (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - あまーい！！実は木兎さんが主人公に片思いをしていたこともめっちゃ胸キュンでした！！本当に小鈴さんの作品大好きです！！！！！ (2019年9月19日 13時) (レス) id: 1ffe4440e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - めっちゃキュンってくるのと、赤葦のかっこよさが、いつもより増してまじでよかったです！他の作品も読んでみようと思います (2019年9月18日 20時) (レス) id: 2af2bdbcf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月7日 19時
