予期せぬ登場 ページ28
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保健室での一件以来、Aさんと顔を合わせていなかった。
木兎さんからは元気になったという話を聞いて安心をしていた。
学校祭の準備に演劇部、と校内を忙しそうに走り回るAさんを目で追うだけで、声を掛けるタイミングがなかった。
そして、学校祭当日。
「うお！なんだ赤葦その恰好！」
人でごった返す廊下をかき分けて現れた木兎さんが、俺の頭に巻かれた包帯と身に纏った薄汚れた布を見てお腹を抱えて笑った。
「木兎さん、準備中の他クラスへの干渉は禁止です」
「そんな固いこと言うなよ赤葦〜俺たちの仲じゃん〜」
この人は何でも肩を組めば許されるとでも思っているのだろうか。
「Aのこと脅かすの、任せたぞ」
耳元で楽しそうに言われた言葉に、俺は顔を歪めながら「はいはい」と呆れたように返事をした。
あの人病み上がりだぞ。と少々乗り気じゃないが、少し楽しみな自分もいた。
＊
木兎光太郎もう少しでそっち行く!
お客さんが来ないタイミングで物陰に隠れて震えるスマホ画面を見る。
次から次へと来るお客さんを脅かしていく。
大抵の人は何か来るとわかっているから、軽い驚きだが、たまに甲高い悲鳴を上げて走り出す人もいるから、少し危ないなって思う。鼓膜が破けそうで耳を塞ぎたくもなる。
耳栓必要だったかな。
一番何が大変かって、この暑さ。
秋言えど、まだまだ暑い。
校内の人口密度と、教室を暗くするために隙間なく貼った暗幕。
風の通りが全くない密室。
あー、また来たな。
入口付近で話し声が聞こえて配置につく。
「おい、ここでスマホ開くなよ。折角のお化け屋敷が台無しじゃねえか」
「別に俺は乗り気じゃなかった」
待機する手前に歩いてきたタイミングで、俺は顔を伏せて手を前に出して立ち上がる────と、
「え、赤葦…？」
「…黒尾さん！？」
黒尾さんと、その後ろにはスマホの画面で明るく顔が照らされている孤爪の姿。
俺に気づいた孤爪が「あ、赤葦」と呼んだ。
「なにしてるんですか」
「いーや、暇だったからさ〜来てみたんだけど。お前木兎何組か知らねえ？」
黒尾さんが相変わらずの芸術的な黒髪を触る。
その様子からは、お化け屋敷を楽しんでいる気配はないが「その包帯似合うじゃん」と鼻で笑った。孤爪に至っては、スマホに指を滑らせている。
この人たち、ほんと何しに来たんだ。
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凛々 - 赤葦と夢主の掛け合いが素敵…。甘さが私に合いすぎです！続きが気になって仕方ないです。 (2019年11月8日 20時) (
レス) id: df09ac0ca3 (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 39話以降のタイトルのセンス良すぎでは…。全話タイトルつけてほしいくらいです。。。 (2019年9月23日 18時) (レス) id: c3e4fd17c8 (このIDを非表示/違反報告)
madoka - コメント失礼します。小鈴さんの作品は「これぞ純愛！」って感じがして、穢れが一切ない感じがたまらなく好きです！今回もいい感じのキュンキュンありがとうございます！番外編と続編も楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2019年9月20日 13時) (レス) id: b7f00b86d0 (このIDを非表示/違反報告)
ずー(プロフ) - あまーい！！実は木兎さんが主人公に片思いをしていたこともめっちゃ胸キュンでした！！本当に小鈴さんの作品大好きです！！！！！ (2019年9月19日 13時) (レス) id: 1ffe4440e9 (このIDを非表示/違反報告)
すいか(プロフ) - めっちゃキュンってくるのと、赤葦のかっこよさが、いつもより増してまじでよかったです！他の作品も読んでみようと思います (2019年9月18日 20時) (レス) id: 2af2bdbcf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年9月7日 19時
