体育館の嘆き ページ18
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その後のバレー部の全国大会は、ハンドボール部の大会と日程が被ってしまい、私はハンドボール部の大会の応援に行くことになった。
私は自分の意志の弱さを激しく後悔した。
本当は、バレー部の方に行きたかった。でも、言えなかった。
バレー部の応援に行きたい、その一言が言えなかった。
相変わらず、私はヘタレだな。
後悔するくらいなら、ちゃんと言うべきなのに。
結果こそ聞かなかったが、あまり良い結果ではなかったのだろう。
全国大会を終えて登校してきた隣の席の五色くんの顔色が、あまりにも静かすぎたから。
＊
それからしばらくして。
自主練習を終えて帰ろうとしていたときだった。
校舎内で一番大きな体育館に差し掛かったとき、ボールが床を叩く音が聞こえてきた。
そこはバレー部が使用する体育館。
開け放たれたドアを覗くと、ひとり、サーブ練習をする五色くんの姿があった。
助走距離、トスの高さ、位置、踏切、その全てがスローモーションに見えて。
ボールを叩く音が体育館に響く。
ネットを越えたボールはサイドラインギリギリに勢いよく落ちる。
綺麗な、サーブ。
「くそっ！」
コートに入ったボールを見届けて、自分の手のひらを見てはグッと力を入れる仕草。
そしてすぐにカゴからボールを取って、再度サーブを打つ。
ちゃんとサーブは入っているのに、何がダメなんだろう。
全国大会で、一体なにが。
時間は、もう夜の九時を回っている。
「五色、くん」
私を見た五色くんの目が、一瞬、ほんの一瞬だけ、怖かった。
「A、なにしてんの」
五色くんはカゴに掛けていた手を止めて、Ｔシャツで額を拭った。
改めて、体育館に散らばったボールを見る。
これ全部、打ったの…？
ネットの向こう側、全部、ボール。
「もう、食堂閉まる時間じゃ…」
「え？あぁ、もうそんな時間」
後頭部に手を当てて、時計を見る五色くん。
散らばったボールを手に取る五色くんに、私はローファーを脱いで体育館に入った。
「あの、全国、お疲れ様」
私は荷物を置いて壁に寄ったボールを抱える。
「A、来なかったな」
「ハンドボール部と被っちゃって。そっちに行ってた」
「…そっか」
五色くんも私も、どちらとも視線を合わそうとはしない。
ボール拾ってるし、多分そのせい。
なんだか、残念そうなのは何故だろう。
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あまね(プロフ) - 3年ぶりも大好きです (2月18日 3時) (
レス) @page42 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
hwanieee - 私が好きな自信満々ででもまだ完璧じゃなくて繊細な五色くんがいて感動しました！ (2月12日 10時) (レス) id: 307954f471 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの？私バカなの？((((喧しいわ (2021年8月14日 20時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
和敬 - 出会って1年と経ちますが、今でもこの小説だけは何十と読み直してる位 大好きです。甘酸っぱくて、だけどちょっと、もどかしさもあって 。本当に素敵な作品をありがとうございました！ (2020年11月9日 0時) (レス) id: a0a88ff10f (このIDを非表示/違反報告)
てつこ - 最高の夢をありがとうございます (2020年1月28日 1時) (レス) id: d5585a65a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小鈴
| 作成日時：2019年8月25日 22時
