印象 ページ2
.
私は母に宣言したあの日から猛勉強の末、県内屈指の進学校へ入学した。
白鳥沢学園高等学校 １年４組。
「なぁなぁ、Aってチア部だったよな！」
背、高い。
髪、ツヤサラ。
前髪は、綺麗に真っ直ぐ。
その髪型に良く似合う、キリッとした眉。
「あ、うん」
────おかっぱ頭。
それが彼の第一印象。
「じゃあ次のバレー部の応援来たりすんの？」
「ど、どうだろう。私まだ一年だから」
私の隣の席で頬杖をついてニヤニヤと笑う彼。
「俺は！エースになる男だけどな！もうレギュラー入りも決まってんだ！」
まだ入学して一か月ちょっとしか経っていないのに、バレー部で次期エースだと名高い、隣の席の【五色工】くん。
私からしてみれば、ただのお調子者にしか見えないけど。
ちょっとクラスの女の子に背が高いって褒められただけで付け上がっちゃう。
自分で【次期エース】だと豪語しているだけなのではないかとすら思ってしまう。
でも、すごい人なんだって、わかる。
「すごいね、五色くんは」
私の言葉に椅子の背もたれにのけぞり返って腕を組む彼は、満足げな表情。
単純だ。
「私なんか、まだダメダメで」
ヘヘヘと笑う。
チア部は思ったより大変で。
体力づくりは勿論、どんなに辛い場面でも、例え練習であったとしても、決して笑顔を絶やしてはいけない。
場を盛り上げ、応援する。それがチアリーダーの役目。
部長が最初に教えてくれたこと。
今まで勉強ばかりやっていた私には、体力的にも、メンタル的にも、過酷なものだった。
「でもAって、確か一般入学じゃなかった？」
「うん」
「じゃあ少なくとも努力できる人間だ！最初から何でもできるやつなんかいないんだ」
「あ、ははは。どうだろう」
消極的なのは、私の悪い癖だ。
「おい五色〜、バレー部の先輩呼んでる〜」
クラスメイトに呼ばれ、五色くんが席を立ち廊下に出る。
開けっ放しのドアから、色素の薄い髪色の先輩と五色くんが話しているのが見える。
あの先輩の髪型、五色くんに似てるな。
綺麗に切り揃えられた前髪が、なんとなく、ね。
背は、五色くんの方が高いな。
いつも自信過剰な五色くんがペコペコしているのを見るのはなんだか新鮮。
暫くして紙を片手に席に戻ってきた五色くんは何だか元気なさげ。
怒られていたようには見えなかったけど…。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 437人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまね(プロフ) - 3年ぶりも大好きです (2月18日 3時) (
レス) @page42 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
hwanieee - 私が好きな自信満々ででもまだ完璧じゃなくて繊細な五色くんがいて感動しました！ (2月12日 10時) (レス) id: 307954f471 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - 待ってなんでこの神作に早く出会わなかったの？私バカなの？((((喧しいわ (2021年8月14日 20時) (レス) id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
和敬 - 出会って1年と経ちますが、今でもこの小説だけは何十と読み直してる位 大好きです。甘酸っぱくて、だけどちょっと、もどかしさもあって 。本当に素敵な作品をありがとうございました！ (2020年11月9日 0時) (レス) id: a0a88ff10f (このIDを非表示/違反報告)
てつこ - 最高の夢をありがとうございます (2020年1月28日 1時) (レス) id: d5585a65a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小鈴
| 作成日時：2019年8月25日 22時
