zm ページ12
初めて彼女を見たのは校舎の裏側にある飼育小屋の更に裏側
髪も制服も乱れて明らかに何かありましたといった感じの姿
泣くわけでもなく黙々と制服を直す姿に何故か少しだけ興奮した
次に見たのは体育館倉庫
男子生徒３人くらいに連れ込まれとるところやった
さすがに抵抗して必死に逃げようとしとったけど無理やったみたいでそのまま中に連れ込まれてった
次に見たのは保健室やった
技術の授業でミスって指切って行ってこいって言われたから来たらベッドで寝とった
校医のしんぺいさんに手当てしてもらったときに聞いた
耳が少し聞こえにくく、話せない訳では無いが大きな声が出せないという事
家族も今は海外にいるらしく、家にまで押し掛けてくるやつらのせいで全然寝れていないらしい事
確かに可愛くてスタイルもわりといい方だと思う
ずっと見ていたのだろうか？
気になるならゾム、君が助けてあげたら？
って言われた
返事もせず、そのまま保健室からでた
夜
部屋の窓の所に望遠鏡を置き、ヘッドホンをつけPCの電源をオンにする
≪ほんと、何やってもバレやんってラッキーやな≫
≪写真も動画もあるから言いなりやしな≫
程なくして声が聞こえてきた
いつも彼女に乱暴しているやつらの二人
もう一人は今日はいないみたいだ
≪なんや、今日は……おらへんのか≫
≪珍しく用事があるらしいで≫
≪ほーん、まあエエわ。今日は俺らだけで楽しもうや≫
そう言って二人は合鍵を使って家の中へ入っていく
彼女の家はわりと高いところにあって他の家からは見られにくい
けど、俺の家からは見える
それがわかったときめっちゃ嬉しかったね
だって
彼女が襲われるん【特等席】で見れんねで
最高やろ
わざわざこの為だけにバイトして望遠機能の高いカメラやビデオを買い、録画して奴等と改めて見る
いやぁ楽しいで
奴等もわかっとるからカーテンなんて閉めへん
開けっぱなしや
わざわざ俺の部屋から見える所に移動してやるからな
撮ったビデオをダビングして彼女の家に送る
楽しいで
しんぺいさん、スマンわ
だって、当事者の一人なんやから彼女助けるなんて無理やわ
こんな楽しいことやめるなんて無理やな
窓の近くで無理やり服を脱がされていく彼女を見ながら俺は近くに置いてあったティッシュに手を伸ばした
あの日助けを求めたのがまさかいつものパーカーを脱いでた俺やってわかったらどんな顔してくれるんやろうな
初めてあったあの日よりも前にあっていた二人
運命の歯車は噛み合わないまま……
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