*39話 ページ40
樹「ねぇ知ってる?結婚式って出会いの場なんだよ」
「……出会いの場?」
彼がオススメだと言って連れてきてくれた店は、オシャレなお店だった。
常連らしく、二人なのに個室に通された。
おしぼりで手を拭いて、メニューを見ていた時に、突然彼にそんなこと言われた。
樹「そう、新婦側の友人と新郎側の友人との出会いの場」
「……………」
考えたことなかった。
結婚式が出会いの場だなんて…。
確かに彼の言う通りかもしれない。
知らない男性と喋る機会めちゃくちゃあるだろうし。
それに、きっと…。
樹「お姉さんなら、いっぱい声かけられるだろうね」
「……………」
…で、それをどうしてこの男に言われないといけないのよ。
…この男が何を考えてるのかわからない。
自分で言うのもアレだけど…
てっきり少しくらい私に気があると思ってた。
だって出会いはナンパだったし…。
樹「ドレス姿で綺麗だろうし、出会い狙ってる男も少なくないだろうし」
「……………」
樹「男ウケする格好、教えてあげようか」
「……なんでアンタがそんなことするの」
樹「言ったでしょ、男の扱い方教えてあげるって」
…確かに。
初めて会った時、そんなこと言われたような…。
アレ、本気だったの?
ますますコイツの意図が分からない。
「…そんなのなくても大丈夫よ、一時期マナー講座も通ってたし、失礼もミスもありえない」
職業柄、接待は得意だし。
何も問題ないはず。
樹「そうじゃない。本当に分かってないな」
「っはぁ?」
樹「男との会話は接待でもなんでもないんだよ」
「…………」
樹「じゃあ、仮に俺を本気で落そうとしてみてよ」
本気で落す?
この男を?
樹「やれるんでしょ?」
そう言ってニヤリと笑った彼についムッとしてしまう。
絶対出来ないと思ってる。
落とす…落とす、か。
…うん、出来ない!!
もはや悔しさも感じないレベルでやれる気がしない。
でも何もせずに出来ませんってのはプライドが許さない。
…とりあえずやれるだけやってみるか…。
ふぅ、と一息ついた。
そしてにっこりと笑う。
「…藤原さんってお肌綺麗ですよね。なにか美容に気を遣ったりしているんですか?」
樹「…そうですね、お姉さんには負けるけど」
「ふふっ、ありがとうございます。お…」
樹「……お?」
「……お客、様……」
樹「やっぱり接待じゃん」
「ううぅぅ……」
無理だ!!

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彼岸花(プロフ) - うめさん» コメントありがとうございます!改めて言われると嬉しいですけどちょっと恥ずかしいです笑 でもドキドキしてくれたなら良かったです笑 (2024年5月10日 10時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
うめ(プロフ) - …服越しに伝わってくる彼の筋肉に、またドキリとさせられた。ーーーという表現の所めちゃくちゃ想像ができて一人でドキドキしてしまいました(笑)思わずコメントしました(笑) (2024年5月10日 10時) (レス) @page27 id: c585c63d13 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - Kazumiさん» コメントありがとうございます!香水っていろんな意味含まれますよね!個人的に好きだから作品に頻出してますけどドキドキしてくれて嬉しいです!藤原樹は何が目的なのか…今後徐々に分かっていくので良ければ気長に待っていてください! (2023年5月5日 10時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
Kazumi(プロフ) - こんにちは。いつもお話読ませてもらってます。アトマイザーで使ってる香水をねだるなんて...川村様最高です!すっごくドキドキしちゃいました。神出鬼没な藤原樹の存在も気になるし、前作も大好きでしたが今作にもすっかり虜です。これからの展開を楽しみにしてます。 (2023年5月5日 8時) (レス) @page31 id: bbb389360d (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます!たくさん読んでいただけて嬉しいです…!!今作もたくさん読んでいただけるような作品になれるように頑張ります! (2023年4月20日 23時) (レス) id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼岸花 | 作成日時:2023年4月20日 19時