九十三通目 ページ44
「おはようございます…」
「おはよう…ってアンタ、何その目！？」
「うーん、やっぱりわかっちゃうか…」
「めちゃくちゃ腫れてるじゃない！」
翌朝の仕事。
オフィスに入った瞬間、さっそく桃花ちゃんにバレてしまった。
眼鏡かけてるからバレにくいって思ったけど
無駄だったみたい。
昨日の夜、泣き疲れてそのまま寝ちゃったから。
目を冷やすのも忘れてた。
桃花ちゃんが私を連れ出して、休憩室で氷を渡してくれた。
有難く目元に当てる。
「で、何があったわけ？」
「…んー……」
「…最近元気ない理由？」
「……うん」
昨日のことを思い出すだけで、泣きそうになる。
ダメダメ、私は心を入れ替えたんだから。
「…失恋、した」
「……はっ？アンタが？」
「…うん、例の手紙の人。縁切った」
「えっ！？なんで！？」
「…その人の仕事が、忙しくなったから、かな」
「……何それ、アンタより仕事のほうが大事ってわけ！？」
「…いいの、彼はそういう人だって分かってたから」
仕事に対して誠実で、真面目な人だって。
最初から分かってて、それでも関係を続けていた。
…二人とも、いつかこんな日が来るって、最初から分かってたことだから。
「…アンタが泣くなんて、本当にいい人だったのね」
「……そういえば、私今までの元カレと別れたときも、泣いたことなかった、かも」
「そりゃクズに流す涙なんて無いでしょうよ」
ポンポンと撫でてくれる手が優しい。
「…でも、もういいの」
「…そう、踏ん切りついた顔してるから、もうこれ以上は言わないわ」
「えへへ…ありがとうね、桃花ちゃん」
「…で、倉本さんとは付き合うの？」
「…今付き合うのってずるく無い？」
「ずるくてなんぼよ、あっちからしてもチャンスでしょ」
…昨日、また電話するって言っちゃったし…。
今日の夜かけなおしてみよう。
今日は髪をおろして、目元が見えないようにする。
登坂広臣の妹がこんな顔でいるわけにもいかないしね。
…はぁ、しばらくはお兄ちゃんにも会いたくないな。
最近は関わる機会が多かったから、ただの一般人に戻らないと。
私は登坂広臣の妹だけど、一般人。
自分の身の丈に合った恋愛をしたい。
それが多分、私の望む…壱馬さんの望む、私の幸せ。
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彼岸花(プロフ) - 夜宵-yayoi-さん» コメントありがとうございます！続編もよろしくお願いします！ (2023年2月19日 23時) (
レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
夜宵-yayoi-(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 21時) (レス) @page50 id: 213e291fb2 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！続編も見ていただけると嬉しいです！！ (2023年2月19日 21時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 19時) (レス) @page50 id: 1db2654d16 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！幸せになるまでもう少しかかりますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (2023年2月17日 21時) (レス) @page46 id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年1月24日 18時
