八十四通目 ページ35
拒ませるつもりのない、早急なキス。
でもそれは、すごく繊細で優しかった。
キスなんて、これまでにも経験してきたことなのに…。
頭が熱くなって、何も考えられなくなる。
一瞬のことなのに、永遠に感じられた。
心臓が壊れそうなくらい高鳴ってる。
ゆっくりと…彼が離れていく。
壱「……ごめん、俺…」
その言葉に、ズキッと胸が痛んだ。
彼の胸を押して、一歩後ろに下がる。
「…謝らないで」
私、もういっぱいいっぱいなの。
お願いだから、勢いだったとか、そういうことは言わないでね…。
…わかってるよ。
今のキスが、付き合ってほしいとか、そういう意味の含まれないものだって。
勘違い、してないよ。
彼の顔が見れなくて、もう一歩離れる。
「…また、ね」
壱「…うん、また手紙出す。電話も、していい？」
「うん」
壱「…じゃあ、帰る」
「…気を付けてね」
私の家の前から去っていく壱馬さんを見送る。
…姿が見えなくなってから、すぐに自分の部屋に入った。
「……やばい、どうしよう…」
キス、しちゃった…。
まだ、唇にキスの感覚が残ってる気がして…。
その日の夜は、もちろん寝れそうになかった。
キスとかしちゃったけど…。
もうファンを裏切るどころじゃない行動しちゃったけど…。
「嬉しいって、思っちゃった…」
やっぱり私…壱馬さんのこと好きだって
そう思っちゃったよ…。
年上として、本当はダメだって言わなきゃいけなかったのに。
拒めなかった…。
しばらく顔見れない…。
いや、そんな顔見る機会なんてないけど。
…あの時壱馬さんは
また会おうって言わなかったから。
きっと、今日が最初で最後。
あとはこれまで通り、手紙と電話だけ。
…あれは、そういう意味のキスでしょう？
…壱馬さん。
でもこの時の私は、楽観視してた。
気軽に会えなくても手紙と電話だけでも繋がっていれば、それでいいって、そう思ってた。
そんな私の考えとはよそに
手紙の返事も、電話も、彼から来ることはなかった。
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彼岸花(プロフ) - 夜宵-yayoi-さん» コメントありがとうございます！続編もよろしくお願いします！ (2023年2月19日 23時) (
レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
夜宵-yayoi-(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 21時) (レス) @page50 id: 213e291fb2 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！続編も見ていただけると嬉しいです！！ (2023年2月19日 21時) (レス) id: ea547107ff (このIDを非表示/違反報告)
紫雨(プロフ) - 続編楽しみにしてます！ (2023年2月19日 19時) (レス) @page50 id: 1db2654d16 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸花(プロフ) - 紫雨さん» コメントありがとうございます！幸せになるまでもう少しかかりますので気長にお待ちいただけると幸いです！ (2023年2月17日 21時) (レス) @page46 id: f47c3cd118 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼岸花
| 作成日時：2023年1月24日 18時
