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軽い昼食を取って少し街を歩いていると
街の中心の辺りに辿り着いた。
「お、本屋があるぞ!行ってみるか?」
『うん。行きたい。』
建物の軒下にぶら下がる本を象った看板を見つけ
其処へ向かった。
扉を押し開けるとカランコロン、とベルの音がして
古い本の独特な匂いが鼻を掠めた。
「いらっしゃい」と出迎えてくれたのは
眼鏡をかけた一人のおじいさん。
とても優しそうな人だった。
『トルコ、本に興味ないでしょ?他のお店見ててもいいよ?』
読書が好きな私にとって本屋は最高な場所。
本を読まないトルコにとっては暇を持て余してしまうだろう。
そう思い店の窓の外に見えた他のお店を指さした。
「ん〜…。そうだな。じゃあ、その向かいの店に居るよ」
『分かった。後でそっちに行くね』
「いや、俺の買い物の方がすぐ終わるだろ。俺がこっちに迎えに来るよ」
私は本の事となると
時間を忘れて没頭してしまう所がある。
長い付き合いでそれを分かっているトルコは
「また後でな」と
私の頭に優しく手を置くと本屋から出て行った。
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天井に届く程、大漁の本が並ぶ棚。
とても胸が躍った。
小さなお店ではあるけど
興味を引かれるものばかり置いてあるので
どれを買おうかとても悩ましい。
一冊一冊手に取り
パラパラと捲っては棚に直すを繰り返した。
何度目か、その作業を繰り返していた頃
背後から「いらっしゃい」と
おじいさんの声が聞こえた。
もうトルコが来たのかと思って振り返ると
そこに居たのはトルコより上背のある男の人。
『良かった…』と、ホッと胸を撫で下ろす。
でもふと思い直し、改めて
今来た男を見た。
肩に担いでいるアレは何?
もしかして、刀?
うわァ…。物騒な人が入って来たなァ…。
……それにあの帽子、何処かで……。
「………」
『……ッ!!』
一人頭の中で問答していると
男とバチッと視線が交わった。
しまった。見過ぎた…。
慌てて視線を本棚へ戻して
自分の帽子の鍔をグイっと下げた。
カツカツカツ…、と足音が近付いて来る。
最悪な事にその足音は私のすぐ隣で鳴り止み
私の右半身に
人の気配と大きな影が落ちて来た。
………ヤバい、どうしよう…。
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ベビーカステラ(プロフ) - あんちょろさん» あんちょろ様!コメントありがとうございます!たった今、パスワード解除しました!これからも読んでもらえると嬉しいです! (2023年4月3日 0時) (レス) id: 6cc3977ac9 (このIDを非表示/違反報告)
あんちょろ(プロフ) - 楽しく読ませていただいています♪次のお話はパスワードついてましたがまだ編集中の未公開ということですか? (2023年4月2日 0時) (レス) @page50 id: 67b3a9cf2e (このIDを非表示/違反報告)
ベビーカステラ(プロフ) - プスメラウィッチさん» 初めまして、コメントありがとうございます!勿論、オチはローさんにする予定です!これからも読んでもらえると嬉しいですっ! (2023年3月24日 9時) (レス) id: 58c35d3d2b (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説はトラファルガーローオチですか?できればトラファルガーローオチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援してます。 (2023年3月23日 21時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ベビーカステラ | 作成日時:2023年3月16日 13時