翼を。136 ページ20
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「皆さん、少し集まってください!」
「脚本が出来上がったのか」
「……で、村人Cは? また倒れたわけ?」
幸の呆れが含まれたその問いに、監督さんは苦笑いを浮かべた。綴くんって脚本書いたら倒れるんだ。
「真澄くんに頼んできたから、大丈夫だと思うけど……」
真澄くんにとっては監督さんが第一だし、そんな彼女からのお願いなら蔑ろに出来ないだろう。
「(……『宝石は幸せを願う』)」
内容の改変に伴って変更されたタイトルを、そっと指でなぞった。
国のため、愛する人のために、姫は自身を犠牲にした。自分よりも未来を選ぶこの人は、あそこで息を引き取って本当によかったのだろうか。
「(君にも幸せをあげたい)」
報われる未来を夢見て、オレは頁を捲った__。
「……なるほど」
一通り頁を捲り終えれば、感嘆にも近いため息が出た。
皆木綴という人間はここまで凄いのか、と初めて読む彼の脚本に釘付けになる。
彼の綴った新しい物語は、悲恋でもメリーバッドエンドでもない、全く新しい形で幕を落としていた。
__演じたい。
「(このヒスイを、オレは演じたい)」
オレの中の翡翠を幸せにするために。
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とまと。 - 更新待ってます! (2021年3月2日 19時) (レス) id: 5e107264c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彩崎葉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ksmkrn12211/
作成日時:2019年12月8日 10時