断頭台で待ち合わせ (ページ5)

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セカンドプロローグ　１－⑤ ページ5

「どれか食べるか？」
「これで十分さ」
「お前はそればっかりだな」

　シャルルの目の前には己の取り分けたケーキがある。
　たっぷりの生クリームとふわふわのスポンジが中央を陣取るまるごとの檸檬の砂糖漬けを囲い、それでいて素人の思いつきで作ったような野暮ったさはなく、贅沢感と食欲を唆られる、そんなレモンケーキだ。
　しかしシャルルは手を付ける気にならなかった。

「シャル、さっきから顔色が悪いぞ。酔ったか？」
「……寝不足でね」
「へぇ、ならそこで横になっていればどうだ。今日は夜まで忙しいからその程度の無作法は許してやる。なんなら起こしてやってもいい」
「お優しいことで。でも平気さ」

　どうして寝ていられようか。
　ドラコとポッターの間に横たわる大きな溝の掘削作業は、今夜、友好の握手に失敗したときから始まる。ポッター達が山のように菓子を買ってからクィディッチについてひとしきり話した頃にドラコが現れるのだから、その場面までの猶予はおおよそ一時間前後だ。

　シャルルはそのシーンを無き物に出来るかを試したい。

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