断頭台で待ち合わせ (ページ1)

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セカンドプロローグ　１－① ページ1

なんということだ！
　我が名、シャルル・アンリ＝サンソンは、愛する者をその手で殺した男のそれと同じものではないか！

　怪訝な顔をする幼馴染にひらひらと手を振ってNoProblemと伝える。
　ちらりと様子を窺う限り、彼の取り巻きの少年達はシャルルのナイフによって今しがた二分された高級ケーキに夢中である。この時代の、それもいくらか遅れている魔法界の特急列車は、中に乗っていても気管が悲鳴を上げるほど煙たいというのに、よくそんなにも目を輝かせて涎を垂らせるものだ。
　シャルルはもう一度ケーキに刃を差し込んで、四分の一になったひとかけをそれぞれに差し出す。幼馴染は気を取り直して話し始めた。

「だから、ハリー・ポッターがいるらしい」
「ふぅん。まあ同い年だからね、そりゃ三択なら親と同じところに入学するだろ」
「お前は本当につまらない奴だな」
「余計なお世話だ。──ドラコ、君はもしや俺を面白いと思うから隣に置いていたのかい？」
「まさか」

　しいて言うなら同情だね、と片眉を上げた。良いところのお坊ちゃんなだけあってせせら笑う姿も絵になる。
　ドラコの皮肉は続いたがそれに構わず明後日を見て、シャルルはルビーのように深いストロベリーブロンドを掻き上げた。細く繊細な髪に絡まっていた小汚い梟の羽根が落ちる。
　ドラコは「早くそれを外にやれ」と顔を顰めた。普段は梟への関心なんて屋敷しもべ妖精へのそれと同じくらいしかないのにと不思議に思ったら、曰く「ハリー・ポッターに会うとき、獣臭かったら嫌だ」とのこと。まったくもって本当にプライドの高い男である。

　さすがは悪役筆頭だ──。
　シャルルは、この次元では考えもしないはずの感想をいとも容易く抱いてみせた。