第一章その4 ページ7
「ディオ様〜〜〜〜!!どこに行かれたのですか〜!?ディオ様〜〜〜〜!!!!」
私たちは顔を見合わせると、声のする方へ急ぐ。
王宮へ入ると、すぐに右往左往している声の主を見つけた。
「スージーQ!どうしたの!?」
「あっ!エマ!シーザー!リサリサ様!大変なの!!ディオ様が、ディオ様が…!」
「落ち着け、スージーQ。ディオ様になにかあったのか?」
スージーQは焦った口調で伝えた。
「どうしよう…ディオ様がいなくなっちゃったの!!」
ー名も無き海岸(ディオ視点)ー
「…そろそろ俺がいないことに気づき、召使い共が大騒ぎしている頃だろう…」
海を眺めながら俺は呟いた。
今日はこの俺…王子ディオ・ブランドーの14の誕生日パーティー。
そんな日に何故わざわざ失踪したのか…それは、あの忌々しい女剣士、リサリサ・ジョースターに一泡吹かせるためだ。
あの女…前国王である父上に仕えていたからといってこの俺に対して無礼な口を聞きおって…!
俺は1番が好きだ。誰であろうと俺の前で威張るような真似は許さん!
すぐにでも首をはねたいが、父上の忠臣、『三英雄』の1人であるから不用意に手を出せないことが更に妬ましい!!
「…だが、誕生日パーティーに王子が行方不明となれば…さすがのリサリサも親衛隊長としての立場が危うくなるだろう…」
俺はニヤリと笑った。
それにしても…何故、海を見ているとこんなにも懐かしく、穏やかな気持ちになるのだろうか。
周囲に対する俺の怒り…そして、孤独による悲しさを、全て包み込んでくれるような…
「…っ…!」
その時、だ。突然、俺の頭が痛み出した…
__
『ねーぇ、ディオー!もうそろそろかえろうよー!はやくしなきゃくらくなっちゃうよー?』
『ふん、よわむしだな“ ”は。ほら、ぼくがてをにぎってやる。これならこわくないだろう?』
『…う、うん…』
『……“ ”、かなしいときはなくんだぞ。そうしてだれかとはんぶんにするんだ。こわいよるもあかるいひるとはんぶんにすれば、きれいなゆうやけになるからな!』
『…ディオ、ありがとう!おかげでこわくなくなったよ!おれいにいいことおしえるね?』
__
「…っ…なんだったのだ…今のは…」
今…幼い少女が頭に浮かんだ、ような…
__俺は、なにか大事なことを忘れている…?
「…いや、きっと気のせいだ…疲れているんだ、俺は…」
そうやって、俺は自分に言い聞かせた。
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作者名:あんず | 作成日時:2019年12月8日 21時