第一章〜王子様の誕生日〜(訂正あり)その1 ページ2
ーブランドー王宮の庭園ー
_ゴーン…ゴーン…ゴーン…
「うぅ〜…もうおやつの時間…ねーシーザーもう疲れたよ…そろそろ終わりにしない?」
庭園の掃除中、教会の鐘が三回なる音を聞いて、私…エマ・ジョースターはうんざりした口調で、同僚であり幼なじみでもあるシーザーにそう言った。
すると、シーザーは眉を寄せて呆れた口調で私に言った。
「お前なあ…今日はディオ様のご生誕をお祝いする日だぞ?他の王族も来るから、ピカピカにするようにスピードワゴン様に言われたじゃないか。」
「そうだけどさ〜…さすがにこの人数でこの広さじゃあ無理だってぇー!」
今日は我が国の王子、ディオ様のお誕生日会…だからどこも綺麗にしとかなきゃいけない…シーザーの言うことは最もだけどさぁ〜…こんな尋常ではないほどの広さ、私とシーザーを含む十名じゃあ清掃は終わる気がしないんだけど…
他の使用人達は舞踏会の準備に追われてるから、侍従長のスピードワゴン様に頼んでも、これ以上割り当ててもらえないし…
「どーせ多少汚れたってばれはしないんだしさ、後はテキトーにチャッチャッとやってもう終わらせちゃおうよ!」
「あのなぁ、そうやって無駄口叩いてる暇があったら手を動かせこのスカタン。大噴水の周りもまだ手つかずなんだから。」
「…はあい…」
厳しい口調でそう言われてしまった私は掃除を再開する。
なにさ、シーザーの奴。スケコマシなくせに、幼なじみの私にだけ当たり強いんだから…
まあ、生意気だけどこの通り私より真面目な奴だから、王子に気に入られてんだよね…
“王子に気に入られる”
私達使用人にとって、これは最も重要な点。
何故なら、ディオ王子の使用人は“命懸け”。
偉大なる王子様のご機嫌を損ねるようなことがあれば、“クビになってしまう”…
クビになるというのは、王宮内と世間一般では全く異なる。先月は17人、その前の月は28人もの人間が、ディオによってギロチンにかけられて“首をはねられた”。
ある者は王子に対して暴言を吐き、ある者は王子の衣装に水をこぼし、ある者は王子と目が合った時にたまたま顔がにやけていた、など…罪状は様々である。
王子にとって自分以外の人間など、おもちゃ同然。
気に入らないことがあったり、いらなくなったら捨ててしまえばいい。そんな認識なのだ。
そんなことを考えながら掃除を続けている時だった。
「掃除はすすんでいるかしら?二人とも」
__美しい女性の声が聞こえてきた。
登場人物紹介 その1(訂正あり)→←序章〜むかしむかしのおはなし〜(訂正あり)
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作者名:あんず | 作成日時:2019年12月8日 21時