■ 【アルマ編】 ページ9
ユースティティア准男爵家の長男にして末子の、アルマ・レグルス・ユースティティアは、自分がこの世で一番美しいと信じて疑わなかった。
彼はユースティティア家で初の男の子として可愛がられ、とても甘やかされて育った。
言い換えればそれほど彼の容姿が整っていた、ということでもある。まるで、なんて比喩を使うまでもなく天使そのものであった。会う大人達には必ず綺麗だね、と言われるのだ。
アルマの家庭は裕福であった。それこそ、闇オークションに参加出来るくらいには。
大層甘やかされて育ったアルマは、当然、親が闇オークションに参加していることなど知るよしもなかった。ある日、突然警察が家に押し掛けてきて沢山の装飾品と共に両親が連れていかれてしまうのを呆然と見ているしかなかった。
次々に警察の手へ渡る装飾品。その怒涛の勢いが止まるのは、かなり時間が経った後だった。
姉達は其々信用できる裕福な親族に引き取られていく。状況も理解できず、そこに立ち尽くしたままであったアルマも、親族の中で一番質素だが安定した親族に引き取られた。
大したニュースにもなっていなかったが、親族に言われ、バレないように、人生が不利にならないように、苗字を変えたアルマはまたそこでも弱愛され、傲慢な人格が出来上がっていった。
そして、そんなアルマ・スプレンディドゥスはあろうことか闇オークションに就職した。彼の望みであれば、と親族も止めることはしなかった。
アルマは不機嫌であった。というのも、ここ最近、人々の歪んだところを観察できていないからである。
普通であればそんなことに機嫌を左右されるのは有り得ないことであるが、それもアルマは普通ではない。彼なら充分に有り得ることだった。
以前から自分のことを悪くしか言わないピウスに前々から苛立っていた。
自分は悪いことを絶対にしない、という考え方が小さい頃からアルマに身に付いていたのである。当然であろう、好き勝手するアルマのことを誰も叱らないんだから。許されてしまうのだから。
こんなに楽しい仕事を嫌と言うピウスを理解できなかったのは前からだったが、先日のピウスとサエウムとの会話を聞いてしまい、何故サエウムがピウスに構うのか分からなくなったのである。
自分と同じように、ピウスのことが嫌いだと思っていたのに。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません!とっても嬉しいです、ありがとうございます!もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね!ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます!これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します!あ、私もピウス君好きです! (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…! え、え、凄く面白いです…! 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…!! しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ!そう言ってくれて嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張るのでよろしくお願い致します! (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです!これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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