□ 記録3 ページ4
「うひゃぁ……遂に100万ディネロか…」
あは、と、短い笑い声を漏らしてアルマは呟く。
「流石だよねぇ…あは、本当に凄い…」
人間の歪んだところを見るのが好きだという、何とも狂った考えのアルマは、そこまで大きくもない壺に掛けられる金額に感嘆の声を漏らす。
「私欲の為にここまでするだなんて、どれだけ自分が可愛いんですか?」
「失礼しちゃうなぁ…僕は可愛いんじゃなくて、美しいんだよ!」
「……その性格でよくそんなことが言えますね…正直言って気持ち悪いですよ」
ピウスの吐く毒舌が少しずつストレートになっていき、仕舞いには完全に直接的に、露骨な悪口になっていた。
また、どんどん金額が跳ね上がっていく。
六桁まで行くと、ちらほらと絶望した表情を浮かべる人が出てくる。
金もろくに手に入れられない人が無理をしてオークションに来た人達だ。
こんな壺でも、100万を簡単に超える為、やはり大富豪しか生き残れない。
このレストランは、言わばこの世界の縮図であり、やはり金と権力を持っている者が優遇される。
金の強大さの権化である。
「……さて!買取者が決まりましたので、これにてオークションはお開きとさせて頂きます!またいつか、この面々に出会えることを心待ちにしております!本日も、ありがとうございました!」
芯の通った清々しいサエウムの声が会場内に響き渡る。
遂に買取者が決まったようだ。
最終的な値段は450万ディネロ。
これでも、平均的な値段であった。
「ようやく終わった…」
ステージから降り、アルマとピウスの二人がいる廊下へ入ってくる。
「お疲れ様でした。いつもの口調からは予想もつかない馬鹿丁寧な演説でしたね」
アルマと二人きりでいることにかなりの疲労を感じていたのか、ピウスの吐く毒舌も少し柔らかい。
「今日も良かったよ、人間の汚い所を思う存分拝見出来た!」
「はん、ピウスもアルマも相変わらずってとこだな」
「どういうことですか、まあ、少なくともサエウムさんには一生使えなさそうな言葉ですが」
「そりゃ、僕はいつも美しいからね!」
「………お前らのそういうところが相変わらずだっつってんの」
そんな会話を交わす内に、オークション会場内は既に食い散らかされた料理とテーブルだけだった。
「でもよぉ……こんな景色も、明日には只のレストランになってるんだぜ?豹変ぶりも甚だしいよな」
ずれたカーペットを直しながら、サエウムは呟いた。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません!とっても嬉しいです、ありがとうございます!もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね!ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます!これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します!あ、私もピウス君好きです! (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…! え、え、凄く面白いです…! 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…!! しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ!そう言ってくれて嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張るのでよろしくお願い致します! (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです!これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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