■ 記録14 ページ16
「なっ、……ざけんな!なんでそれだけなんだよ!!」
サエウムは納得がいかなかった。お偉いさんが決めた処罰は医師からの伝言を通してサエウム達に伝わる。
その結果に納得がいかなかったからとして医師に怒鳴ったとしても変わらないものは変わらない。
アルマは1週間、許可なくピウスに近付くな。
それが下された処分である。殺人未遂まで起こしておいて、謹慎もないなんてどうかしている。サエウムは壁を殴り付けた。
「ぁ、えと、いい、ですよ。……元は、仕事に身が入らなかった俺のせい、ですし」
力なくピウスが宥めようとするもサエウムの怒りは収まりそうにない。
「そうですよ……俺の、俺のせいです、から。もう、いいんです……」
ピウスの雰囲気が少し変わったからと言って今のサエウムにそれが気付けるか。否。
「ピウスがよくても、俺が!」
じゃあ。
「じゃあ、だったら、なんなんですか。……サエウムさんには、許せなくても俺、が、いいって、言ってるんですよ。今回のことも俺が、原因だ。アルマさん、が、ああなることだって、予想は、出来た。なんでサエウムさんが、怒るんですか。全ての責任は俺に、ある。……あんたに、そう言われる筋合いはない」
サエウムは絶句した。
ピウスがここまで自分を追い詰めるとは思わなかったからだ。
何時の間にか普通に喋れるくらいにピウスが回復したことに気付かない程には驚いていた。
「……ごめんなさい、ちょっと、頭、冷やしてきますね」
流石にピウスも自分が言ってはいけないことを言っていると自覚したのだろう。立ち尽くすサエウムを一瞥して、立ち去ろうとしたその時。
「ねぇ。……君さぁ、調子乗ってない?」
聞こえてきたのは壁に背を預けて俯いていたアルマの声。
いつも通りの調子なのに何故か不気味さを感じさせるその声は、計算尽くされて出来たのではないかと勘ぐってしまう程に殺気が含まれていた。
「え、と……?」
そんなアルマに怯えることなく意味が分からないと返すピウス。
今にもアルマが何かしそうな雰囲気に、動かなくてはいけないはずなのに動けないサエウム。
「……作戦が上手くいったから」
零すように言ったアルマの台詞。
ピウスの申し訳なさそうだった表情に影がさした。
「この僕を嵌めて? いつも通りの生活が出来るとでも、思ってた?」
顔を上げたアルマの顔には、いつも通りの笑みがあった。
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あき(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 返信遅くなってしまい誠に申し訳ありません!とっても嬉しいです、ありがとうございます!もうそろそろ更新できそうなので頑張りますね!ピウスさん私も好きですよー。 (2020年9月26日 21時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - ぬーん(´`)さん» 沢山のお褒めの言葉、とても嬉しいです、ありがとうございます!これからも面白い作品作りに精進して参りますので、応援の程宜しくお願い致します!あ、私もピウス君好きです! (2020年9月20日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
ぬーん(´`)(プロフ) - 夜分遅くにコメント失礼します…! え、え、凄く面白いです…! 個性的なキャラや、言い回し、圧倒的な文章構成力…!! しっかり作り込まれた一次創作本当に好きです…。文章だけでピウスくん好きになりました(*´`*) (2020年9月20日 23時) (レス) id: 554c742bde (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - サワーさん» さわんぬぁぁぁ!そう言ってくれて嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張るのでよろしくお願い致します! (2020年9月16日 17時) (レス) id: f9bd0e9f58 (このIDを非表示/違反報告)
こきあ(プロフ) - サワーさん» 二人で一生懸命練り上げたキャラクター達なので、そう言って頂くと本当に嬉しいです!これからも、サワーさんのことを飽きさせない作品作りに努めますので、応援宜しくお願い致します! (2020年9月15日 23時) (レス) id: 2afde1be33 (このIDを非表示/違反報告)
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