検索窓
今日:6 hit、昨日:13 hit、合計:145,832 hit

五話 予測 ページ6

.



「詳しくは知らないけどね、皆、だんだん弱っていったんだってー」


お喋りな下女、小蘭(シャオラン)は他人と関わりの少ない猫小姐が話しかけて来た事に興味を持ったらしい。


あの後も、事あるごとに噂話を教えてくれた。


『じゃあ死因は衰弱死...?』


「うん。そうだと思うよー」


後宮の掃除中、こんな話をして宦官に怒られないか不安だが猫小姐は別に気に留めてはいなかった。


私は話を聞きながら窓の掃除を進めていく。


「お医者さまの訪問回数から、梨花さまのほうが重いのかしら?」


小蘭は、絞った雑巾で窓の桟を拭きながら言った。


「梨花さまご自身も?」


「ええ、母子ともによ」


『でも医官が梨花さまの方に出向くのはさ、病の重さより子が東宮だからでしょ?』


生まれてきた子供に性差があれば、どちらに重さが置くのは明白だ。世の中、男女平等では無い。


「帝の寵愛は玉葉さまの方が重いみたいだけどね」


猫小姐が呆れたように言えば、小蘭もそれに同意するかのように肩をすくめた。


「さすがに詳しい症状はわからないけど、頭痛とか腹痛とか、吐き気もあるって聞いたなあ」


『(頭痛、腹痛、吐き気かあ...)』


小蘭は知っている事全てを話すと満足したらしく、次の仕事に向かっていく。


猫小姐はお礼代わりに甘草入りの茶を渡した。


前に飲んだことがある。材料は中庭で見つけ、薬臭いが甘味がとても強く美味しいものだった。


甘味を滅多に食べられない下女は尚更嬉しいだろう。頰を赤らめ喜んでいた。


『猫小姐。何か心当たりあるの?』


小蘭の姿が見えなくなると、腕組みをして考え込んでいる猫小姐に視線を向けた。


「思い当たる症状ではあるんだけどね、」


『凄いなあ。私は全くの理解不能だよ』


「昔、おやじが診た妓女覚えてる?』


『うん。確か高級お____あっ、なるほど』


物事を予測だけで考えるのはいけないと私と猫小姐は散々おやじさんから言われていた。


「ちいとばかし行ってみるか」


『目立たないようにね』


猫小姐と私は、今までで最速で仕事を終わらせた。



.

六話 中央→←四話 呪い



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (116 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
313人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (12月14日 1時) (レス) @page34 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - オチは出来たら愛されエンドか全員のオチが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (10月24日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 続き待ってます!更新頑張ってください! (2022年7月3日 18時) (レス) @page34 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)
akane0731akane(プロフ) - 面白です!更新待ってます! (2020年4月14日 22時) (レス) id: 4d9b400674 (このIDを非表示/違反報告)
水無月胡桃(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!!励みになります! (2020年1月30日 16時) (レス) id: 1710749122 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:水霧 | 作成日時:2019年11月30日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。