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四話 呪い ページ5

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広い食堂で数百人の下女が朝餉を食べている。


汁物と雑穀の粥を猫小姐とすすっていると、斜め前に座っている下女達が何やら噂話を始めていた。


「あーあ、やっぱりそうなんだ」


「ええ、お医者様が入っていったのを見たって」


2人とも気の毒そうな表情をしているが、それ以上に好奇心が目の奥で輝いていた。


玉葉(ギョクヨウ)さまのところにも、梨花(リファ)さまのところにも」


「うわー、2人ともなんだ。半年と三ヶ月だっけ?」


「そうそう、やっぱり呪いなのかしらね」


出てきた名前は、皇帝のお気に入りの妃たちの名である。数字はそれぞれの産んだ宮の年齢であろう。


『(呪い?)』


隣の猫小姐に目を向ければ、私と同じように下女達の噂話に耳を傾けていた。


「そうよね、でなければ三人も...」


皇帝が東宮時代に一人、皇帝になられてから二人、どれも乳幼児の頃にみまかられている。


『(確かに幼児の死亡率は高い。だけど、帝の子っていうのが引っかかるんだよなあ)』


確か現在は、玉葉妃と梨花妃の二人の子供だけがご存命と聞いている。


『毒殺じゃないのかな?』コソッ


猫小姐に小さく耳打ちすると、「それは違う」と言うように猫小姐は首を振った。


「三人のうち、二人ば公主だって」コソッ


『東宮だけならともかく公主までが?』コソッ


「だからといって呪いはねえ」コソッ


くだらない、その一言に尽きると猫小姐は言った。


呪いをかけるだけで一族郎党皆殺しになるのだ。猫小姐にとってその考えは異端とといえた。


何しろ猫小姐にはそう言える知識があるのだ。


『猫小姐。どうみる?』コソッ


「何かの病気。もしかして血筋に関係するのかも。ただ、死因が分からない事にはなんともねえ」


『調べてみる?』


「...ちょっとだけだよ」


無口で無愛想と言われた下女と、目が見えず不気味と言われた下女がお喋り下女に話しかけたのはその時。


好奇心と知識欲に負けて後悔するのはそれからしばらく経ってからである。



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うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (12月14日 1時) (レス) @page34 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - オチは出来たら愛されエンドか全員のオチが見たいです!更新楽しみにしてます!頑張ってください! (10月24日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
カケオレ - 続き待ってます!更新頑張ってください! (2022年7月3日 18時) (レス) @page34 id: 661d0ebc5d (このIDを非表示/違反報告)
akane0731akane(プロフ) - 面白です!更新待ってます! (2020年4月14日 22時) (レス) id: 4d9b400674 (このIDを非表示/違反報告)
水無月胡桃(プロフ) - 黒胡椒さん» ありがとうございます!!励みになります! (2020年1月30日 16時) (レス) id: 1710749122 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水霧 | 作成日時:2019年11月30日 17時

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