96 ページ40
.
たらり、と伝う冷や汗。
横にいる彼を見る勇気なんて、私にはなかった。
きっと、まふくんは.......驚いている。
きっとまふくんの中で私は " まふまふさん " のことは知らないはずだ。
まふくんのお仕事の話が出たことなんて、殆どないのだから。
「まあいっか。じゃ、ごゆっくり」
言葉を詰まらせていた私に、そらるさんはそう口にして。軽い会釈をしてから、私達に背を向けた。
え、とまだ状況を飲み込めないうちに。
天月さんも「まふくん、今度話聞くからね!」と言葉を残して、手を振った後去っていった。
早すぎる展開に追いつけず、首を傾げる。まふくんと、顔を見合わせた。そして、私とまふくんはほぼ同時に口を開いて、
『まふくん』
「Aちゃん、あの」
言葉がお互い重なり合った。
瞬時に謝るまふくんに、首を横に振って私も謝る。
「Aちゃん、先いいよ」
先いいよ、というのは.......私から喋って良いよってことで。
まふくんのこういうレディーファーストなところというか、優しいところが本当に素敵だ。
『あ、えっと......』
久しぶりの、まふくんとこの距離の近さ。
それをどうしても意識してしまって、上手く言葉が出てこなかった。
視線をウロチョロさせていたら、目に飛び込んできたのは私の両腕で握り締めている紙袋で。
今日ここにきた本来の目的を思い出して、それを差し出そうとするも。紙袋の状態に今更ながら気付いて、重々しく口を開いた。
.
779人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空梅雨(プロフ) - 肴さん» わーー!!名前のミスすみません!!ずっと気付いてなかったのでほんとに助かりました...!!それと更新停止ほんとにすみません、、最近になってようやく続きを書いてるところです、、(最後になりましたが)お話読んで下さってありがとうございます...!! (2023年3月1日 13時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
肴 - めちゃくちゃ面白いです……。大好きです。途中2話ほど「叶恋」さんになっていた所がありましたので一応……。一気読みして最後え!更新停止!?とめちゃくちゃ驚きました。更新ゆっくりと楽しみにしています、 (2023年3月1日 5時) (レス) @page50 id: d8a709d348 (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - LiLiKaさん» タイトルも含めお話自体がなかなか共感しにくい内容かなあ、とたまーに後悔したりしなかったりなのですがそう言って頂けてすごく嬉しいです....!!ありがとうございます🙏🏻 ̖́-励みになります....!! (2023年1月13日 23時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
LiLiKa(プロフ) - P活系に抵抗があって今までどの作品も読んでなかったんですけど、一気読みしちゃいました!作品もすごく魅力的なんですけど、私みたいなP活女子に抵抗あっても読んでるうちに共感したりとかあって、これからの見方も変わりそうです! (2023年1月11日 12時) (レス) id: 0d7a09bcbc (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - 千々さん» わ〜!ここまで一気読みして下さってありがとうございます…!!私の拙い文章で感情移入できました、なんて身に余るお言葉です🤲🏻´-更新頑張れそうです、ほんとにありがとうございます! (2023年1月2日 22時) (レス) id: 4ca18e6f9b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空梅雨 | 作成日時:2022年6月20日 9時