パパ活

9 ページ9

.




よっと私の横に腰掛けたまふくんが微笑んで、いつものように話を聞かせてくれる。



そして、私がここに来てから30分程が過ぎた頃。

突然、彼のスマホの電話が鳴って。
画面に表示された名前を見て、｢ごめん、出てくる」とまふくんは言い残して、部屋を出た。





その間に私は、ちびちびとココアを口に含む。
ちょっとだけ濃い、私の好きな味が口に広がった。


ひょっとしてまふくんって、天才？

そんなことを考えていたら、５分もしないうちに電話が終わったのか、まふくんが帰ってきた。






「ごめん、社員さんからで」

そう言う彼に、首を振って『大丈夫だよ』と答える。




＿＿＿＿＿＿社員さん。


その言葉に、ふと。
まふくんが会社の社長さんだったことを思い出した。






以前、まふくんに『何のお仕事してるの？』と聞いたことがあった。別に下心があった、とかそういうのではなくて。

社交辞令的な、よくある会話のひとつとして、そう聞いただけ。だけど。まふくんは悩むように、答えてくれた。





「会社の............社長、かな」





そりゃあこれだけ広いマンションに住んでるから、あまり驚きはしなかったけど。
でも、何となく彼にとって触れちゃいけないところだったかな、と感じてしまって。


それからはもう触れないようにしていたから、不意にまふくんの口から出た " 社員さん " の言葉に少しどきっとしてしまった。





.

10 (まふまふさいど）→←8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す