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必死に走っていても、その間にどんどん雨が強くなる。
外も雨のせいでかなり暗くなっていて、視界も悪い。
息が切れて、足も疲れて思わず立ち止まっても。その間にポツポツと雨が私を濡らす。
雨は止みそうにもなくて、私の体力もかなり限界で。
もう疲れたし、このまま濡れてもいいから歩いて帰ろうかな。なんて諦めかけていた時。
「_____Aちゃん...!」
ふと私の後ろから、自分の名前を呼ばれる。
驚いて、声がした方に振り返った。そこにいたのは、
『______まふくん...!?』
さっきまで、一緒にいた彼だった。
肩を上下させて、少し息を切らしていているように見えて。彼の近くまで、小走りで駆け寄る。
『どうしたの?』と驚きながら聞くと、
まふくんは持っていた傘を差し出しながら言った。
「雨、降ってたから.......Aちゃんが風邪引くと思って、」
『_____え、』
思わず、驚きの声が漏れた。
それって、もしかして。
聞き間違えとかじゃなかったら、私のために.............こんな雨の中、傘を渡しにきてくれたってこと?
嬉しい気持ちと、驚きの気持ち、ほんの少しの申し訳ない気持ちで。私の心はいっぱいになった。
彼がはい、と言って差し出してくれる傘は、きっと私に貸してくれるってことで、間違いないのだろう。
まふくんは.........まふくんは、どこまで優しいんだろうか。
雨の中だと、まふくんだって風邪を引くかもしれないのに。
それでも、帰る途中の私を追いかけてくれて、傘を差し出してくれて。
その優しさがツンと目の奥に染みて。
ありがとう、とほんの少し震える声で呟いた。
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空梅雨(プロフ) - 無気力に自信が有る人さん» 気づいちゃいましたね笑コメントありがとうございます😊😊更新頑張ります…!!! (2022年3月13日 9時) (レス) id: a04b728654 (このIDを非表示/違反報告)
無気力に自信が有る人 - 気づかれましたね。更新頑張ってください! (2022年3月13日 9時) (レス) @page25 id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - ラムちゃさん» こちらこそ読んでくださってありがとうございます…!!!感謝しかないです、いつもありがとうございます🙏 (2022年2月21日 21時) (レス) id: a04b728654 (このIDを非表示/違反報告)
ラムちゃ - 更新ありがとうございます (2022年2月21日 21時) (レス) @page16 id: f594704211 (このIDを非表示/違反報告)
空梅雨(プロフ) - ラムちゃさん» コメントありがとうございます…!好きと言って頂いてとても嬉しいです‼更新頑張ります (2022年1月28日 23時) (レス) id: a04b728654 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空梅雨 | 作成日時:2022年1月27日 20時