Peacock and…Who is you?【歌い手】

＊ ページ27

「僕な、ほんまに財閥とかもなんも関係のない、普通の家で生まれたんよ。」


さかたんは再びベッドに腰を預けて、静かに喋りだした。


さかたんと、Aさんの話を。


「全然裕福じゃなかったけど、まぁまぁ楽しかった。でもな、僕ね、今は大分ましになったけど昔は感情とか行動とかをコントロールするんが難しくて…んで、学校の人からも嫌われてた。」


「…」


「そんな中で僕の家が燃えたの。…燃やされてん」


静かに息を呑むと、さたかんは唇を噛んで涙を堪えながら、


「そん時にさ、両親が僕だけ逃がしてくれて、…死んじゃって…誰にも頼れんくて、独りぼっちで…」


無理だった。


次々に零れた涙は歯止めが効かなくなって、枯れる事を知らないように溢れ出てくる。


さかたんはそれを拭おうとしないまま、こちらを向き無理矢理に笑った。


「んで、一人で、公園で蹲っ、てたらな…？Aちゃん様が…A様が、「大丈夫？」って」


「―――――」


「もう、すご、い、それに、なぁ…？救、われたんよぉっ…み、ぃんな僕を無視したのに、あの方だけは…っ、僕に手を差し伸べて、くれてさぁ…っ！」


鼻をすすり、涙で整った顔をくしゃくしゃにしてさかたんは必死に話を伝えようとしてくれている。


手のひらを顔に押し付けて、大声で彼女への想いを。


「もう、大好きやねん、ほんとに、さぁ…っ、だから、なぁ…？あのひ、っとには、泣いてほしぐ、っないんよ…！救って、あげてほし、いねん…！僕じゃ、なんもできひんから…！」


おねがい、おねがい、と必死に頼み込むさかたんの顔を上げさせると、大粒の涙に濡れた瞳と目があった。


純粋で、子供らしくて、ただ大切で大好きな少女に対する想いを抱える彼。


「さかたん、」


「…ぅう、ぐすっ、あぅぅ…ひぅっ」


「ボクら、友達でしょ？頭下げないで。辛かったら、頼りないかもしれないけど、ボクを頼って。」


「…まふぅう…」




「ボクはさかたんも、救いたい」

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