Peacock and…Who is you?【歌い手】

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何故人を殺してはいけないかと問われれば、多分「法律で決まっているから」と答える人も少なくないはずだ。


では、「なんで法律でそう決められたのか？」と聞くのも可笑しな話だが、一応そう問いかけたとしよう。


「それが悪い事だから」


「なんでそれは悪い事なのか？」


「人の命を奪う、世界に一つしかない、一度きりしか廻らない、大切なものを奪う行為だから」


そこまで考えたところで、コンコンとノックの音がなった。


そらるさんがドアを開ければ、深紫のシャツを着崩した志麻くんが鋭い瞳で愉しそうにこちらを見ていた。


「なぁんか楽しいことしてるって聞きまして、俺も混ぜてもらえませんかね？」


これは思わぬイベントだ。


すぐさま「良いよね？」とそらるさんに問いかけ、許可をもらって志麻くんを中に招き入れる。


「ははっ、luz様ご機嫌ですねぇ。俺の事、そんな好きなん？」


「大好きやよ。ねぇねぇ、志麻くん、A様の惚気話、聞かせてよ」


A様大好きな志麻くんだ。きっと口を滑らせてくれるに違いない。


俺の目論見通り、志麻くんは「しゃーないなぁ」と心底嬉しそうに笑って語り出す。


「A様は、Aの名を持ちながら世界の色んなことを知ってはったんよ。luz様が住んでた権力の世界はもちろん、そらる様やまふまふ様がおった一般の世界も。luz様はよぉ分かるやろ？権力の世界がどれだけ歪んでいるか。」


そう投げかけられ、父親だった人間の言葉が思い浮かぶ。


「お前はいずれ、この世界を背負うことになる。下を見るな、上を見ろ。上だけを、ただ登ることだけを考えて生きろ。庶民なんかの世界など、興味を示すことすら愚かしい。」と。


それを口に出すと、志麻くんは挑発的な笑みのまま頷く。


「俺の親父にもそんな事よぉ言われたわ。そんな感じで俺も月崎っちゅう家の長男やったからさ、我慢できひんくなって歯向かったらそいつに殺されそうになって。」


権力さえあれば、殺人だって無かった事にできるから？

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