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涼介side



………………どうしよう……


涼「あっ、紙………」



とりあえず、意思疎通が出来ないことには意味が無い。

そう思って、申し訳ないと思いながらキョロキョロ辺りを探してみるけど………紙も、なんならペンすら見つからなかった。

こんなことあるぅ…?



圭「ん…ょ、うけ、ぅん…」




トントン、と肩を叩かれれば、それは圭人さんで。

胸ポケットから小さく畳まれた紙をとりだし、ズボンのポケットから小さな鉛筆を取り出す圭人さん。


スラスラと、小さな字で何かを書いて、俺に見せた。




“中島圭人です。読唇術はできるから、口を大きく動かしながら喋ってもらえれば、りょうすけくんの言葉は分かるよ。俺はこの紙を使うね”




ハッとして頷けば、圭人さんはにこりと笑ってみせる。

けどそれは一瞬で、すぐにまた何かを書き始めて。



な、なに……?



何かを書いてるあいだ、俺は意味もなく部屋の中をキョロキョロしたり、鼻歌を歌ってみたり。

……無駄なことをしてる間に書き終わったらしく、また肩をトントン叩かれた。




“補聴器なんて最近はずっとつけてない。兄が嘘をついてる”






…………嘘?

なんでそんな嘘を………









“気づいてる?









俺たち、今閉じ込められてるんだよ”








………は……?









確かに、さっき見た通り、玄関の扉はあのセンサー付きの鍵が無いと開けられない。

窓やベランダから出たとしても、ここは2階だし。

裕翔先生が帰ってくるまで、外に出るのは無理だ。



けど、そんなの………明日の朝になればすぐ病院に戻るだろうし………

第一、裕翔先生がそんなことするわけない………



涼「……なに、いってるの…?」


真っ白になる頭。



できるだけ口を大きく見せてそう言えば、またもや真剣に圭人さんは何かを書いて。




“兄は、俺とりょうすけくんが言葉を交わさないように紙やペンを昨日全て廃棄してた。俺は隠し持ってたけど…”

“昨日、夜な夜なボソボソひとりで喋ってたんだ。俺には聞こえなかったから内容は分からない”

“でも雰囲気で分かる。兄は多分、復讐しようとしてる”




涼「…………誰に………?」









そう言ったあと…………嫌なことを思い出した。






裕翔先生が、嫌い存在。

憎んでいるかもしれない存在。


もしかして…………









“警察だよ”

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しょりれん - 完成度が半端なくてびっくりしました! (2021年11月25日 20時) (レス) @page50 id: 103108e9a9 (このIDを非表示/違反報告)
海音 - この話とても面白くて度々読み返しに来てます!りずむさんの作品全て好きです!新作の更新も頑張ってください!楽しみにしてます^^* (2020年11月17日 23時) (レス) id: f3a5bd6aac (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - すごいですね!これからも他の作品で頑張ってください!!! (2020年8月20日 7時) (レス) id: 4766001341 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - いろはすさん» コメントありがとうございます!そのとおりです〜!お名前だけお借りしました笑 (2020年5月20日 21時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
いろはす(プロフ) - 女の子の名前は古畑中学生ですね!!どこかで聞いたことあるなと思ってました笑 (2020年5月20日 18時) (レス) id: c890c969a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:楠木りずむ | 作者ホームページ:楠木りずむ  
作成日時:2020年2月22日 19時

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