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涼介side
母「涼介、挨拶」
涼「ありがとうございました!」
「ん、よく頑張ったね。定期検診ちゃんと来るんだよ」
………病院のエントランス。
ここを行き来するのは、コンビニに行く時くらいだと思ってたけど。
俺は……大荷物を持って、先生と看護師さんに礼をしていた。
「このあとって……」
大「あ……はい。裕翔先生のとこ、行ってきます」
「そうですか。よろしく言っといてくださいね」
そんな会話をしてる大ちゃんに、大荷物を持たせて。
大「っあ、おい!」
パタパタと、大ちゃんの車まで走る俺。
……苦しくないし、痛くもない。
これが………これが、健康ってこと。
今までは自分の足が速いのか遅いのかも分からなかったけど。
これはもしかして、結構速いんじゃねぇの?
ずっと走ってなかったからそんな事ありえないのに、走れる体にニヤニヤが止まらない。
今ならなんでも出来る気がする。
大「涼介ーっ!」
涼「ふははっ」
振り向けば、追い付いてこられない大ちゃんとお母さん。
…………こんなの………夢みたいだ。
.
裕「おめでとう、涼介」
涼「へへっ……ありがとうございます」
…………透明な壁の、1枚向こう側。
前よりも少し痩せて、若干髭の伸びた裕翔先生が、ニッコリと笑った。
お母さんは…………来なかった。
担当医と言えど………さすがに、息子にあんな目をあわせた犯人には会いたくないみたいで。
葛藤もあったみたいだけど、面会直前になって帰っちゃったんだ。
裕「ほんとによく頑張った。……ずっと頑張ってたもんね、涼介は」
大「……裕翔先生は、何か変化ありました?」
裕「ん〜……ここにいると、変化も何も無いかな…でも、圭人には変化あったみたいだよ」
そこで聞いたのは、圭人さんが専門学校に向けて勉強し始めた事だった。
特別支援学校の教諭を目指すことにしたらしい。
……そっか…………俺も、将来の夢を考えていいんだ…………
そこでまた、ぽっと胸が熱くなって嬉しくなる。
涼「明日から、捜査に協力することにしたんです」
裕「明日!?…………有岡さん」
大「す、すみません……」
じとっと大ちゃんを見つめる先生に、ペコペコ謝る大ちゃん。
裕「涼介、絶対無理しちゃダメだよ?」
涼「うんっ」
俺はなおも、笑顔が止まらないでいた。
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しょりれん - 完成度が半端なくてびっくりしました! (2021年11月25日 20時) (レス) @page50 id: 103108e9a9 (このIDを非表示/違反報告)
海音 - この話とても面白くて度々読み返しに来てます!りずむさんの作品全て好きです!新作の更新も頑張ってください!楽しみにしてます^^* (2020年11月17日 23時) (レス) id: f3a5bd6aac (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - すごいですね!これからも他の作品で頑張ってください!!! (2020年8月20日 7時) (レス) id: 4766001341 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - いろはすさん» コメントありがとうございます!そのとおりです〜!お名前だけお借りしました笑 (2020年5月20日 21時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
いろはす(プロフ) - 女の子の名前は古畑中学生ですね!!どこかで聞いたことあるなと思ってました笑 (2020年5月20日 18時) (レス) id: c890c969a8 (このIDを非表示/違反報告)
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