Case.9 ページ16
大貴side
『事件直前にドナーの連絡が来て、別の先生にお願いしておきました。初めての先生だけど、信頼出来る先生だよ』
………数日前、警察病院で会った時に裕翔先生が言った言葉。
そして、今日。
俺たちは、移植についての説明を受けていた。
もちろん1度説明を受けたことはあるけど、その時は俺も若いし、涼介なんて中学生で………とりあえずで登録しただけだった。
でも今回は、その頃はいなかった………母さんもいる。
「術後、治療が無くなるという訳ではありません。拒絶反応を予防するため、いくつか免疫抑制剤を投与する必要があります」
涼「拒絶反応……?」
「簡単に言うとね。本来なら、自分の体に別の人の体の一部が入ることは、あってはいけないことなんだ。だから体に信号が伝わって、拒絶反応が起きることが多いんだよ」
優しい口調だったけど、言ってることは少しぎょっとする内容で。
それは涼介も同じだったようで………というか、もちろん涼介の方が恐怖は感じてる訳で。
先生は、そんな涼介の顔を覗き込んで笑った。
「大丈夫。薬でそれは防止できるし、もし起こったとしても軽度。………ただ注意して欲しいのは、しばらくは入院と通院が必要になるし、副作用で免疫が下がるから感染症も気をつけなきゃいけない」
………それでも。
それはちゃんと治療すれば、これからも生きていけるということ。
今までしたことがない運動や遠出だって、いつか出来るようになるかもしれない。
俺らが、誰かから貰うその心臓は………俺らの、希望だった。
母「………よろしくお願いします」
涼介のぎゅっと手を握れば、涼介も、返事をするように強く握って。
俺と目を合わせた涼介は……にこっと、少し笑った。
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しょりれん - 完成度が半端なくてびっくりしました! (2021年11月25日 20時) (レス) @page50 id: 103108e9a9 (このIDを非表示/違反報告)
海音 - この話とても面白くて度々読み返しに来てます!りずむさんの作品全て好きです!新作の更新も頑張ってください!楽しみにしてます^^* (2020年11月17日 23時) (レス) id: f3a5bd6aac (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみん - すごいですね!これからも他の作品で頑張ってください!!! (2020年8月20日 7時) (レス) id: 4766001341 (このIDを非表示/違反報告)
楠木りずむ(プロフ) - いろはすさん» コメントありがとうございます!そのとおりです〜!お名前だけお借りしました笑 (2020年5月20日 21時) (レス) id: cd22ea486d (このIDを非表示/違反報告)
いろはす(プロフ) - 女の子の名前は古畑中学生ですね!!どこかで聞いたことあるなと思ってました笑 (2020年5月20日 18時) (レス) id: c890c969a8 (このIDを非表示/違反報告)
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