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「すみません、お待たせしました」
座った後に隣を見るとすやすやと眠る彼女
彼女のこういう姿を見られるのはなんだか特別な気がして少し笑みが溢れる
夢現な彼女に声をかける
「ほら着いたよ」
先ほど預かった鍵を使って部屋のドアを開ける
1人では歩けないようなので腕を支える
「靴脱げる?」
「はい…」
先に入って一言、冷蔵庫開けるねと断ってから開ける
冷蔵庫の中をジロジロ見る気はなかったんだが視界に入った感じでは自炊してそうだなと思った
「一応飲み物とゼリーとアイス入れとくね。レンジでできるおかゆはここにあるから」
とにかく彼女を早く休ませようとテキパキと動く
ボーッと立っている彼女にベットに座るよう伝えると素直に動き出した
「これ食べ物と飲み物ね。他にしてほしいことある?」
「…えっと」
おずおずと手を握られる
ドギマギとするような繋ぎ方ではなく…
「握手…?」
「あ、ありがとうございます」
なぜ握手?
でもただの握手でもこの部屋に2人きりのシチュエーションという付加価値のせいで手汗をかく
「準々決勝頑張ってください」
「うん」
準決勝、決勝と夢を見せるよ
「あと私はくるまさんが好きです」
「え?!」
え?え?好き?
S U K I ?
「えっと、私も嫌いじゃないですってことです」
「ああ!それね…」
あっぶなー
なんか変なこと口走りそうだった
「その話はあなたが元気になったらしよ。俺が悪いのは確かだから」
「…はい」
「じゃあお大事に」
立ち上がりドアに向かう
なんだか少し名残惜しい
「鍵かけといてね」
そう言って部屋を出た
「……なんなんだろ」
よく分からない気持ちになる
マネージャーが体調悪くてここまでするのは普通……だよな?
まあちょっと今までの態度のお詫びという意味でもあるけど
「……M1頑張りますか」
準々決勝は通過し、その後彼女と電話したくて少し卑怯なLINEを送った
律儀な彼女はちゃんと電話をくれて少しでも話せたことが嬉しかった
夜空に向かって吐く白い息を見ながら何か始まる気がしたんだ
To be continued...
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作者名:Az | 作成日時:2025年1月9日 12時