最終兵器 ページ37
ケーニヒの後ろから出てきた影を見て、息を呑む。彼の隣に堂々と立っていたのは…紛れもない"私自身"だったのだ。
「傑作だろう？まさかお前が双子とは思いもしなかった」
ケーニヒは隣に立つ少女の肩を持つ。しかし私には双子の姉妹などいないのだ。姿形…髪の長さまで私と同じで。違うことと言えば、痛みに顔をしかめる私に対して相手は涼しい顔をしていることぐらいか。
「チーノ…あの人は…」
私はチーノに尋ねる。チーノは顔に険しい色をひらめかせた。
「あれは、"最終兵器"や。最悪のタイミングで目が覚めてもうたな…！俺、一人やと分が悪い。A、いけるか？」
「うん…！」
チーノは細身のナイフを私に向かって投げる。それは器用に私の腕と足の自由を奪っていたロープに当たった。私が自由になったのを見て、拳銃も渡される。
「援護は頼んだで」
チーノはナイフを片手にケーニヒと少女に向かって駆け出した。私もしっかりと拳銃を装備して援護に努める。ケーニヒはそれでも自分のことを信じるように勝ち誇った表情をする。そして少女の背を押し、己の前へと立たせた。
「…私は手を出さない。お前一人でできるな、"A"」
ケーニヒの言葉と同時に既に駆け出していたチーノのナイフが少女の首を狙う。少女は一切顔色を変えず、自身の右手を前に出す。
「───リジェクション」
私と同じ声色で、何かを呟く。その瞬間に後数�僂波狃�の首元を掻っ切ろうとしていたチーノの身体が吹き飛んだ。
「ぐっ…」
「チーノ…！？」
心配して駆け寄ろうとしても瓦礫や所々空いた穴のせいで今の場所から動くことができなかった。チーノは吹き飛んだ身体を器用に反転させて体勢を整える。
「A！お前の妹か姉がどっちかは知らんけど、殺す気でやってええんよな！？」
チーノは彼女を私の血縁者だと思って手加減してくれていたらしい。同じ顔の人物に困惑したものの、やらなければやられる、と私も決意する。
「うん！私も、援護するよ…！」
私は彼女ではなくその後ろでほくそ笑むケーニヒに向かって銃弾を放つ。
「"A"」
「─リジェクション」
しかしそれもあったりと少女によって弾かれた。目の前で弾かれた銃弾は「インクディション」と彼女の呟きによって、こちらに跳ね返ってくる。まさか跳ね返ってくるとは思わず私の足へ銃弾が当たった。
「…っ〜」
「A！」
私は冷や汗をかきながらも大丈夫、と近づいてこようとするチーノを手で制した。
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…！最後までご愛読ありがとうございました！ (2021年2月20日 16時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…！とても素敵な話でした！ (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん！以前もコメントして下さいましたよね？本当ありがとうございます…！良かったら番外編でもよろしくお願いします…！最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました！ (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます！貴方の作品に出会えて本当に良かったです！ (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください！すごく励みになります…！今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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