遠くなる君の後ろ姿 ページ17
無事に絶対安静の時間も終わり、医務室から出ることができた。あれからも幹部のみんなは何度か顔を出してくれて退屈な時間になることはなかったがいざ自由に自分の時間を過ごすことができるのは大きい。
少し散歩しようと棟内を歩いていれば、前から歩いてくる人影が目に入る。
「Aちゃんやん〜元気にやっとるか？」
「…大先生？お久しぶりです。皆さんのお陰様で元気にやってます」
「この間の任務も大変やったんやろ。怪我は？」
「あはは…」
「笑って誤魔化すんやないで」
大先生とまさか遭遇するとは思わず、兄さんからの言葉が頭を占める。そのため彼の質問をきちんと聞いておらずから元気な返事になってしまった。それを気にする様子もなく、大先生は私の右肩を指差す。
「肩が落ちとるから怪我しとるのすぐ分かる。無理はせんでええんやで。こんな変な軍に配属しとるとは言え、自分普通の女の子なんやから」
そう言って心配そうに私の顔を覗いてくる大先生に私は顔に熱が集まるのが分かった。しばらく廊下で世間話を続けていると、大先生が腕時計に視線を向ける。あんまり長居はできないのだろう。そう思い一番肝心なことを聞いてみる。
「あの、大先生…最後に一つ聞いてもいいですか？」
「ん、どないしたん？」
「大先生の異能ってどんなものなんですか？」
「どんなって…せやねえ、……名前は微妙やけど煙かなぁ」
「煙…？」
「見とってや」
言葉の間が気にはなったが大先生は煙と答える。大先生がふぅ、と息をすると口から紫煙が浮かび上がる。それが私を纏い、鼻の中へ吸い込まれていった。嫌悪感はなく紫煙が体に入り込むと、今まで感じていた体の倦怠感がなくなる。
「え…？」
「どう？こうやって煙操ってな…他者の五感をコントロール出来るんよ。色々と誓約はあるから使い勝手が悪いんやけどなぁ」
「めちゃくちゃすごいじゃないですか…！？私、今ものすごく楽になりましたよ！」
「はは、喜んでもらえたなら良かったで」
じゃあ働いてくるかと緩く背伸びをした大先生は挨拶をして通り過ぎていく。
「やっぱり違うのかな…」
彼の後ろ姿が見えなくなったところで一人呟く。
「何が違うん？」
「何って私がここに来た理由ですよ」
「あ〜なるほどなぁ」
「煙の能力なら100%無理ですもんね……って、あれ？」
「めう？」
完全な独り言のはずだったのに気付けば誰かと会話をしていた。慌てて振り向くとそこには本を何冊か抱えたオスマンさんの姿があった。
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鳩山(プロフ) - えみさん» コメントありがとうございます。懸命に生きる2人と彼らの話を素敵と言っていただき本当に光栄です…！最後までご愛読ありがとうございました！ (2021年2月20日 16時) (
レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
えみ - rbr推しですがshaちゃんとくっついて欲しいと思ってしまう程の作者様の文才に引き込まれました…！とても素敵な話でした！ (2021年2月19日 17時) (レス) id: 1597543406 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ブンブンさん» ブンブンさん！以前もコメントして下さいましたよね？本当ありがとうございます…！良かったら番外編でもよろしくお願いします…！最高に嬉しい言葉を本当にありがとうございました！ (2019年11月11日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ブンブン(プロフ) - 完結おめでとうございます！貴方の作品に出会えて本当に良かったです！ (2019年11月10日 23時) (レス) id: 4a511d68cf (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - kogarashi343gooさん» コメントありがとうございます！本当に嬉しいお言葉ばかりで私からも感謝させてください！すごく励みになります…！今後は番外編然り、別作品然り、更新頑張っていくつもりですので今後ともよろしくお願い致します！ (2019年11月10日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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