橙色の後悔 ページ4
「初めまして、Aです」
軍には似つかない優しい声がチーノを包む。振り返れば優しい声とは裏腹に血に濡れた彼女が笑っていた。
.
..
...
A先輩。年齢はチーノやショッピと変わらないが軍に入ったのが自分たちより遥かに先の先輩。
軍で唯一の女性幹部で、……優しい。
それがチーノの知るAであった。
「A先輩ってさ」
「もうチーノ。私に先輩ってつけなくていいって前から言ってるよね」
「先輩ってのは事実やん」
「ぅ…嬉しい反面、何かむず痒いんだよね」
照れたように笑うA。この軍でそんな彼女を先輩、と呼ぶのはチーノただ一人であった。ショッピですら彼女のことは呼び捨てで呼んでいる。それは彼の少しの優越感に浸らせた。
たった一人の俺の先輩。
そして彼女にとってたった一人の後輩。
俺はたぶん、先輩のことが好きだった。
「A先輩と初めて会った時、びっくりしたわ。血だらけやったやん」
「あの日かぁ。確かに綺麗にしてから挨拶すればよかったよね…気が回らなくてごめんね」
「ちゃうちゃう。そう言う意味やなくて、先輩みたいな人も人を殺すんやなって思って」
彼女がピクリ、と動きを止めた。
「どこかで女の幹部なんて信じてなっかったし、いざ戦場では泣き喚いて邪魔ばっかしよるんやないかなって勝手に思っとったからさ。なーんか意外やったんよなぁ」
チーノが隣に座る彼女を見やる。
太陽の光に照らされた彼女は、瞳の色がいつもと違い、キラキラと光って綺麗だな、と思う。Aはそんな綺麗な瞳を隠すようにして、寂しそうに目を伏せて笑った。
「確かに私は戦争より平和が好きかな。素敵なみんなが傷つくのは嫌だし」
「先輩は平和がお似合いやで？」
「ふふ…それを言うならチーノも平和が似合うよ」
唐突にAがチーノに手を伸ばした。
そしてそのまま顔を近づけてくる。
チーノは男のくせに恋する乙女のように胸を高鳴せて目を瞑った。
しかし望んでいた暖かみが唇に触れることはなく、クスクスと笑う彼女の声が聞こえてゆっくりと瞳を開く。目の前で彼女が落ち葉を片手に笑う。
「髪についてたよ」
へらり、と先ほどの寂しさはどこへやらいつもの笑みを浮かべたAがそこにいた。
先輩。俺はあんたのことが好きでした。
だから本当はあの時、先輩に戦わないで、俺の側に永遠にいてほしいって伝えたかったんです。
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鳩山(プロフ) - 詩音さん» コメントありがとうございます…！返事がとても遅くなって申し訳ないです…！ハッピーエンドにしたくって最後書くのを頑張りましたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです！ありがとうございました！ (2020年6月7日 23時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後までどうなるかわからなくてドキドキしました。ハッピーエンドが素敵すぎます…読ませていただきありがとうございます…。！これからも応援しています！ (2020年3月10日 9時) (レス) id: e70b445cf3 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - カリンさん» コメントありがとうございます！頑張り屋な夢主をここまで見守ってくださって本当にありがとうございます…！素敵な物語と言って頂き大変幸せです…！これからも新作を投稿していく予定ではありますので今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月1日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
カリン - 完結おめでとうございます！頑張る夢主がどういった結末を迎えるのかドキドキしながら最後まで読まさせていただきました。素敵な物語をありがとうございます！これからも応援しています！ (2020年2月29日 23時) (レス) id: 84d76390cc (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます！自分の書いてて楽しいお話を書かせて頂いてそのようなお言葉をいただけて私は本当に幸せ者です…。今後も新作は出していくつもりですので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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