藍色と彼女 ページ21
第二次地球防衛大戦に向けて我々の軍は水面下で準備を進めていた。地球外生命体に支配された多くは我々に期待していたのだ。グルッペンがただ黙って自らの領土を支配されるのを見ているはずがない。沢山の犠牲者により荒んだ兵士にグルッペンは言った。
「我々は…荒廃と瓦礫の中から再び軍旗が立ち上がるだろう!」
その言葉は疲弊した軍人達が正義の心を取り戻すには充分すぎるものであった。
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その日の夜警はAと鬱であった。二人は薄暗い基地内を頼りないランプを持って見回りを続ける。
「それにしてもグルちゃんも懲りひんもんやでほんま」
「負けず嫌いだもんね」
「あれは負けず嫌いなんて可愛らしい言葉じゃ済まんからな」
「ふふっ、確かに」
Aが口元を押さえて笑う。そんな彼女を横目で見た鬱は何かが引っかかる。
「Aちゃん笑い方変わった?」
「え?」
「なんか…こう、ぐっと大人びたっちゅーんか?」
「そうかな、特にいつもと変わらないと思うけど」
「んー…何か悩んだりしとらん?」
「してないよ。あ、そうだ大先生」
Aはゴソゴソと自分のポケットを手を入れる。鬱は彼女が探しているものが取りやすいようにランプを近づける。探し物が見つかったAは「どうぞ」と彼に紐のようなものを渡した。
「これは…ミサンガ?」
「うん。みんなの幸せを祈って作ったの」
いつもと変わらぬ笑顔で幹部の幸せを願う彼女。鬱はさっき自分の感じた違和感はその笑顔で飛んでいってしまった。藍色とライトブルー、そして白色の三色で編まれたそれが鬱のためを思って作られたものだと気付いたから。
「あんまり願掛けとか好きやないんやけどこれは嬉しいもんやな」
鬱は右手を差し出す。
「なあ、Aがつけてや」
ふと呼び捨てになった彼にAは笑って応える。
「…大先生が今後もずっと幸せでいれますように」
「あれ、願い事をAちゃんがするん?」
「あっ…大先生がしないと意味ないんだった!ごめんね、もう一回外す?」
「ええんよ。君の気持ちはしっかり伝わったし」
鬱が軽く右手をあげる。
「まあ俺の幸せのためにもAちゃんには側にいてもらんとな〜」
「わたし?」
「おん」
「冗談がうまいんだから…。大先生には素敵なみんながいるでしょ?」
「相変わらずその中に自分がおるって思わんのやね」
目を細めて笑う彼女の顔は何の邪気もない単純さがあるだけで、それを見た鬱はあいつらも難儀やなぁと声を漏らすのであった。
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鳩山(プロフ) - 詩音さん» コメントありがとうございます…!返事がとても遅くなって申し訳ないです…!ハッピーエンドにしたくって最後書くのを頑張りましたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです!ありがとうございました! (2020年6月7日 23時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後までどうなるかわからなくてドキドキしました。ハッピーエンドが素敵すぎます…読ませていただきありがとうございます…。!これからも応援しています! (2020年3月10日 9時) (レス) id: e70b445cf3 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - カリンさん» コメントありがとうございます!頑張り屋な夢主をここまで見守ってくださって本当にありがとうございます…!素敵な物語と言って頂き大変幸せです…!これからも新作を投稿していく予定ではありますので今後ともよろしくお願いします! (2020年3月1日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
カリン - 完結おめでとうございます!頑張る夢主がどういった結末を迎えるのかドキドキしながら最後まで読まさせていただきました。素敵な物語をありがとうございます!これからも応援しています! (2020年2月29日 23時) (レス) id: 84d76390cc (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます!自分の書いてて楽しいお話を書かせて頂いてそのようなお言葉をいただけて私は本当に幸せ者です…。今後も新作は出していくつもりですので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします! (2020年2月29日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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