彼女の後悔 ページ19
久しぶりの本部。Aは医務室でトントンに付き添っていた。人間の回復力は驚くものでお腹に穴が空いていた彼は今や問題なく動けるまでになっていた。うまく臓器を避けて触手が貫いたようで出血こそあれど命に別状はなかったのだ。
「うん。感染症も起こしてないし不幸中の幸いやね。これから前線には復帰できると思うで。──立て直せたらの話やけど」
しんぺい神の言葉にトントンは悔しそうに歯を食い縛る。それもそうだろう。我々は地球外生命体との戦争に…敗北したのだ。
Aはトントンと共に医務室を後にする。
「トントンごめんなさい」
「何でAが謝るんや」
「私を庇ったせいで総大将のあなたに怪我をさせてしまって…本当に申し訳なく思ってるの」
Aは彼の腹部にそっと触れた。服越しであるのにトントンの熱が指先に移るように熱く感じる。
彼はそんな彼女の態度にはぁと溜息を吐くとその手を取った。
「お前はほんまに人のことばかりやな…。そこは私を守り切ったんだから光栄に思いなさいぐらい言えばええのに」
「えっ…そ、そんなこと思ってもないよ」
「知っとる」
手を握られたまま、トントンがAの髪の毛を耳にかけた。
「と、トントン？」
「……俺はお前が無事で良かったんや。」
言葉を出す隙もなく彼との距離は離れる。彼はAに背を向けたまま、耳だけを赤くして「総統んとこ行くか」と誤魔化した。
Aは何故彼が自分の身を案じているのか、そして彼が耳を赤くしているのか分からずにその後ろをついていく。
.
..
...
会議も終わり、敗北した我々は戦線を立て直すためにも一時的な休戦となった。エイリアンとどのように交渉したかは分からないが、上手くやったのだろう。
Aは自室に篭って、戦線を振り返っていた。
あの日見たトントンの夢。
そして北エリアでの戦争でのトントンの怪我。
それがどうも偶然にも思えなかったのだ。
五つ目のミサンガを編み終えて、Aは瞼が重くなっていることに気付いた。少しだけ仮眠をしよう。
そしてまた、眠りについた。
夢を見た。
「なんでなん、なんで、お前が」
「死ぬなんて聞いてないぞ」
「…っ…グルッペン…！」
真っ黒な棺の中に穏やかに眠るように横になっていたのはグルッペンだった。涙を流して彼の死を認めようとしない幹部達。みんな、傷だらけであった。
そこでAは気付く。これはただの夢ではない。
いつかの、未来であることに。
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鳩山(プロフ) - 詩音さん» コメントありがとうございます…！返事がとても遅くなって申し訳ないです…！ハッピーエンドにしたくって最後書くのを頑張りましたのでそう言っていただけて本当に嬉しいです！ありがとうございました！ (2020年6月7日 23時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後までどうなるかわからなくてドキドキしました。ハッピーエンドが素敵すぎます…読ませていただきありがとうございます…。！これからも応援しています！ (2020年3月10日 9時) (レス) id: e70b445cf3 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - カリンさん» コメントありがとうございます！頑張り屋な夢主をここまで見守ってくださって本当にありがとうございます…！素敵な物語と言って頂き大変幸せです…！これからも新作を投稿していく予定ではありますので今後ともよろしくお願いします！ (2020年3月1日 0時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
カリン - 完結おめでとうございます！頑張る夢主がどういった結末を迎えるのかドキドキしながら最後まで読まさせていただきました。素敵な物語をありがとうございます！これからも応援しています！ (2020年2月29日 23時) (レス) id: 84d76390cc (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» コメントありがとうございます！自分の書いてて楽しいお話を書かせて頂いてそのようなお言葉をいただけて私は本当に幸せ者です…。今後も新作は出していくつもりですので、ぜひ今後ともよろしくお願いいたします！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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