【d!】君の顔も見たくない【軍パロ】

数cmの距離 ページ24

二人して、血塗れになって息を荒げていた。
シャオロンはこちらを見やるとドサリ、と倒れ込む。私特製の毒が身体を回ってしまったのだろう。

私は地べたを這いつくばって、シャオロンに手を伸ばす。シャオロンもまた必死に私に手を伸ばしていた。

お互いの指先が触れるまで残り、数cm。
たったそれだけの距離なのに触れることなく私の意識は暗転した。


.
..
...

私が目を覚ますとそこは医務室であった。
起き上がった私を見たしんぺい神が慌てて、ロボロに連絡する声が聞こえる。

自身の手首の脈に触れた。ドクッ、ドクッと脈打つそれ。──私は、生きていた。

しかし何故か隣のベッドは空。

「…Aが無事で良かったよ」

しんぺい神が暗い顔をして、無理矢理笑顔を作っていた。このパターンは、まさか。

「君はこの毒の作成者だから、耐性があったんだね。今は点滴で体内の毒を流してるから問題ない」

私のことなんてどうでもいいのだ。

「けど、致死的な毒や。……シャオロンは亡くなった」

医師からの死亡宣告。それは聞きたくないもので。


もう涙はとっくに枯れてしまった。
私の心は、悲しみよりも呆れだ。
また失敗した、と絶望が大きすぎる。

一体あと何回繰り返せば、彼と明日を迎えることができるのだろうか。

黙る私を見兼ねたしんぺい神は、「ほら、もう寝な」と私を横にしようとする。

「寝れそうにないの」

彼を安心させるように笑いかけるが、笑顔の奥の苦い渋い色が見抜かれていたようで、しんぺい神はそのまま私のベッドの横にあった椅子に座る。

「A。病み上がりの君にこんなことを言うのは辛いんやけど」
「私なら平気だよ。…どうしたの？」
「……グルッペンがシャオロンの死因について話したいことがあるらしいんや。……行けそう？」
「…ぺ神の顔的に良くない話なんだね」
「医師的にはおすすめできないぐらいには」
「……そっか」

シャオロンを失ってしまった私に出来ることなんてない。何を言われるのか検討もつかないが、きっと彼の最期についての詳細を話さなければならいのだろう。
私は痛む胸に気付かないフリをして、幹部の集まる会議室へと向かった。


シャオロンが亡くなった会議室は、いつもの雰囲気ではなく重苦しい。いつもなら暴言の飛び交う会議も今日は恐ろしく静かだ。
死んだ目をした私が、部屋に到着すると全員の視線が突き刺さった。

「遅くなってごめんなさい」

静まる会議室の中で、私の声だけがやけに響いた。

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