受け止められない現実 ページ2
夜間の緊急招集で深い眠りから覚める。急いでジャケットを羽織り走って会議室へと向かうと難しい顔をしたロボロの姿があった。彼は私の姿を確認すると苦虫を噛み潰したかのような顔を浮かべる。
「A、今から言うことを落ち着いて聞いてくれるか?」
珍しく焦ったロボロが私の肩に手を乗せて真面目な顔で言う。私は「どうしたの?」と大したことでもないように笑って返事をするが、ロボロのピンクの瞳は揺れていて…。
「シャオロンが、死んだ」
──呼吸が止まる
数秒経ってやっと、息が吸えた。
「…え」
しかし声に出たのはたった一文字。ロボロは顔を歪めてただただ私に謝罪の言葉を並べる。何でロボロが謝るのか私には理解できない。それに先程彼が言った言葉も理解できなかった。
「なに…、それ。変な冗談やめてよ。ドッキリでもしてるんでしょ?」
「…ちゃうねん…」
「シャオロン!ゾム!コネシマ!早く出て来なさいよ!私にはその手のドッキリ通用しないからね!」
「A!!!」
ロボロのよく通る声が、室内に響き渡った。それと同時に頰に痛みが走る。
…私の頰を叩いたのは泣きたいのを我慢して悲痛に顔を歪ませたロボロであった。
「なによ。…シャオロンが死んだ?本当に言っているの?」
「俺が監視してたのに…間に合わんかったんや…すまん…。あいつは最期…、部下を庇って自分だけで……被害を最小限に抑えた……立派やった」
その言葉は私には到底理解できないものであった。
彼の言っていることが一つも、わからない。
私が呆然と彼を見つめていれば桃色の瞳から、涙が溢れる。心が無いと散々言われていた彼が泣いている。でもその理由が分からないのだ。
「ロボロ…?」
「…現実を受け入れられんのは分かる。医務室や。あいつなら医務室におる…。ほんまに、すまん…っ」
頭を下げたからか赤い絨毯に透明の染みがついていく。彼のその涙が私を少しずつ現実に導いていった。
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白いろきつね。(プロフ) - 今更ながらに読ませていただきました すごい心を持っていかれるお話で涙腺が崩壊しながらも読ませて貰いました ループで心が壊れていく夢主さんを見ていて感情移入しちゃって、本当に心を揺さぶられる最高の作品でした。主様書いて下さり本当にありがとうございました! (2021年8月11日 0時) (レス) id: 02f1a6e36f (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 菜乃さん» コメントありがとうございます…!死に戻りは私の性癖でして、設定好きと言われて喜んでます。この作品はお気に入りの一つなのでコメント頂けて幸せです。こちらこそありがたいお言葉をたくさんありがとうございました。またどこかでお会いできることを願っております (2020年6月27日 19時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ・ちょこみんとさん» コメントありがとうございます…!流した涙がもったいないですよ(そっとハンカチを差し出す)本当に素敵なお言葉をありがとうのざいます!ちょこみんとさんからの言葉で今後も文字書きとしてやっていこうと思います。ありがとうございました…! (2020年6月27日 18時) (レス) id: 9ca89ee33d (このIDを非表示/違反報告)
菜乃(プロフ) - 今更ながら一気に読ませていただきました…!めちゃくちゃ号泣しました…!このお話設定やストーリーも鳩山さんの文字の書き方も全部が好きで勢いでコメントしてしまいました…。素敵な作品をありがとうございました!! (2020年6月27日 15時) (レス) id: a5b7bd47a4 (このIDを非表示/違反報告)
・ちょこみんと - 全話一気に読まさせて頂きました!涙がボッロボロに出ました…感動します…鳩山さんの作品が大好きです!これからも頑張って下さい! (2020年6月27日 15時) (レス) id: 87dd4c4135 (このIDを非表示/違反報告)
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