プレゼント ページ7
「Aっ!!」
ぴょこぴょこ跳ねながら近づいてくるゾムを見て、名前を呼ばれたAは目をギョッとさせる。
「ゾムさん…!?」
身構えるAにゾムはやっぱり自分のことを怖がってるのかと不服そうな顔をする。
「どうされたんですか?」
「今日は、Aにプレゼントを持ってきたんよ」
「えっ」
「持ってきたから開けてーや」
小さなAの手に渡されたのは小さな箱。丁寧にラッピングされている。
「私、今日誕生日じゃありませんよ?」
「俺があげたいんからええんや。気持ちってやつ!」
「どんな気持ちですか…え、まさかゾムさん…私のこと好き…?とか…?」
「それはないな!」
年頃になってからというもの、異性からプレゼントなんてもらったことがないAの淡い期待は呆気なく散る。あぁ、さいですか。とAは気持ちを落ち着かせてプレゼントの箱を開けていく。
「え…これって」
「やっぱりすぐ見て分かるんやな!」
「花火、?」
「せやで!ひとらんに聞いたらニホンジンってハナビが好きなんやろ?」
「そうだけど、わざわざどうして?」
口笛を吹き視線を逸らすゾム。Aはその視線に自分が入るように顔を覗き込んだ。
「教えてくださいよ。急に渡されたら何か怖いじゃないですか」
"怖い"という単語にゾムがピクリと反応する。そしてか細い声で「まだ怖いん…?」と呟く。
「まだって?」
「…前にAが俺んこと怖がってたやん」
いつもより暗いゾムの声。それに対してAは困惑する一方だ。頬をかきながら非常に言いにくい言葉を発する。
「そんなこと言いましたっけ?」
「言ったわ!俺、めっちゃ悩んだんやで?!あんなことして許してもらえるとは思ってなかったけど、せっかくAが幹部になったんなら仲間なんやし、怖いって思われるの嫌やん…それで…!!」
ゾムはここまで言って気付いた。自分が隠していたことを暴露してしまったことに。そして今、目の前にいる少女がにやけた顔を無理やり抑えるように両手を頰に当てていたのだ。ゾムは彼女がにやけるのに釣られるように顔に熱が篭っていく。
「あ、あ…じゃあ、俺はいくわ」
ロボットのようにぎこちなくゾムは回れ右をする。数歩歩いて、パーカーが引っ張られているのに気付いた。
「ゾムさん、ありがとうございます。プレゼントすごく嬉しいです。それと…仲間としてこれからもよろしくお願いしますね」
後ろから聞こえる声にゾムは振り返らずに笑った。
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🍞 - ご、語彙力が爆発してる、、すごすぎんか? (9月24日 22時) (レス) @page42 id: 42c1ea8f94 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - 琥珀さん» 琥珀さんいつもありがとうございます…!番外編まで読んでくださって感謝しかありません…!また他作品は更新していくつもりですので今後ともよろしくお願いします! (2020年3月14日 20時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
琥珀(プロフ) - 完結おめでとうございます!本編のほうも、番外編のほうも、鳩山さんの素晴らしい文章に引き込まれ、読んでいて幸せな気分になれました。これからも鳩山さんの作品を読み続けさせてください…! (2020年3月14日 13時) (レス) id: 742aa07519 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - メオさん» コメントありがとうございます!告白までしていただいて嬉しいです!これからものんびり更新だと思いますがよろしくお願いします…! (2019年11月12日 19時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
メオ - うん、好きだ(確信)ありがとう(嬉し泣き)頑張ってくださいね!! (2019年11月12日 14時) (レス) id: 8aa2d098f2 (このIDを非表示/違反報告)
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