*プリムローズ ページ49
グルッペンもまた晴れ晴れとした顔で
「堅苦しいのは嫌いでな。俺の言葉で質問してもいいだろうか?」
「ええ、もちろんよ」
「グルッペンが敬語やったら笑ってもうて先進まんからな」
相変わらずの二人に対してカラカラと笑った。
自分の初恋の相手と、親友が結ばれたことがひどく嬉しいのだ。きっと鬱も同じ感情を抱いているのだろうと後ろで大泣きする男へ視線を向ける。
無言のグルッペンに対して、エメラルドとラピスラズリの瞳がこちらを見ていることに気づく。グルッペンは一度咳払いをすると、では、始めるかと姿勢を正す。
「新郎ゾム、お前はここにいる新婦…Aを、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、……記憶を無くしたときも、妻として愛し、敬い、いつくしむことを誓うか?」
ゾムはグルッペンの顔を見て苦笑いする。
「もう逃げへんよ。グルッペンに誓うで」
「新婦A、お前はここにいる新郎ゾムを、健やかなるときも病めるときも、富めるときも貧しいときも、この男が道を踏み出したときも、夫として愛し、敬い、いつくしむことを誓うか?」
今度はAがゾムを見る。彼のしょんぼりとした様子を見て微笑むとグルッペンへ元気よく返事をする。
「ふふ…この人が道を踏み外したなら私が引っ張って連れ戻すから大丈夫よ。愛するって誓うわ」
周りから拍手が起こる。
それが静まるとグルッペンが言葉を続けた。
「では、二人に問おう。今日という素晴らしい日にお前達は夫婦となった。今日という日を忘れず、これからどんな困難もふたりで乗り越え、幸せをわかちあい、幸せな家庭を築くことを…俺に、誓えるか?」
牧師ではなくグルッペンがゾムとAに問う。二人は顔を見合わせて「誓います」と笑った。それを聞いたグルッペンは満足そうに頷く。手をパチパチと二回鳴らすと彼の後ろからリングを持ったレノが深い藍色のドレスを着て現れた。
「では、リング交換を」
ゾムが彼女からリングを受け取る。
「Aさん。…しあわせになってね」
レノはニコリと花が咲いたような笑顔を見せた。Aは初めて見る彼女の笑顔に一瞬驚くが、祝福をしてくれる彼女へ自身の持つブーケを渡す。
「もちろんよ。レノも幸せになるのよ」
β国で見た彼女は美しい女神であった。
…しかし今、目の前にいる藍色の花嫁はレノの瞳には、世界で一番幸せなお姫様に見えた。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…!拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…! (2019年11月27日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん!コメントありがとうございます!労いのお言葉まで…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます!!( ;∀;)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました! (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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