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Aはそれからというもの時間さえあればゾムの元へと通った。ゾムもまた時間を空けては彼女を様々なところへ連れて行く。主に川や、山と自然が豊かな場所であったがAはとても喜んだ。
そんなある日のこと。いつものように屋敷を抜けたAをゾムは見つけた。薄ら汚れたローブを身につけたAは手をふりながらゾムへ駆け足で近づく。
「ゾム！」
「誰や。」
「誰ってAよ。一週間も空いたから忘れたの？ゾムって案外忘れん坊なのね」
ゾムはAを抱き寄せるとその背後に鋭い視線を向けた。
「誰やって言っとんねん」
Aも彼の真剣な表情に自身の背後を振り返った。木々が生い茂っており、人の気配なんてしない。勘違いではないかと彼に声をかけようとすると「随分と勘の良い」と聞き覚えのある声がした。
「こわ〜すごい殺気やん」
「鬱はビビリやな」
木の影から姿を表したのはグルッペンと、鬱であった。ゾムは見覚えのない二人に警戒を解かないが、Aがニコニコと笑うのを見て肩の力を抜いた。
「あ、どうも。初めましてそこのAの兄のウツーと言いますぅ。」
「尾行してすまない。Aの友人のグルッペンだ。お前が噂のゾムだな？」
「…せやけど。」
ゾムがぶっきらぼうに答える。
「そう警戒せんと。貧困街の君と遊ぶAを止めに来たとかそんなんやないから」
「そうだゾ！俺たちはAが何やら楽しいことをしとるって言うから遊びに来ただけや！」
「……貴族って皆こんな変わっとるん？」
ゾムの声は呆れていた。
面白いもの大好きなグルッペンと好奇心旺盛なAはよく似ていた。森を案内するゾムに二人がひたすら質問攻めにする。それを見ていた鬱はゾムへ同情の眼差しを向ける。
「ゾムさんすまんなぁ。面倒なのが増えたやろ？」
「別にええけど…こんなんがほんまに楽しいん？」
ゾムの視線の先には木の棒を結びつけて釣りを楽しむグルッペンとAがいた。
「楽しいと思うで。二人とも似とるやろ？」
「…せやな。」
「あの二人、婚約者なんや。」
「婚約者…？って」
「結婚するんよ。うちの家とグルちゃんとこの家柄はそこそこ位が高いから政略結婚ってやつ。ゾムはお似合いやと思う？」
Aが結婚…、とゾムは鬱の言葉を繰り返す。まだ幼い自分は考えたことがなかった。いつか街で見た花嫁の姿がAと重なる。きっと綺麗なあの子は誰よりも花嫁姿が似合うのだろう。しかしゾムは鬱の質問に即答はできなかった。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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