*ダリア ページ19
Aが次に目を覚ました時には体の痛みは引いていた。腕のいい医者がいて良かったとホッと息をつく。
Aが起き上がり、寝続けていたためにふらりと身体が揺れる。それを支えてくれたのはまだ幼い少女…レノだった。
「レノ?今日も来てくれていたのね。支えてくれてありがとう」
「あなたは恩人。あたりまえ。」
「ふふっ、私は今からここの軍のトップに会いに行くのだけどあなたも一緒に行く?」
「うん」
笑いはしないが嬉しそうなレノとAは手を繋ぎ、医務室を後にする。勝手に館内を歩いていいか、気がかりであったが慣れた顔して歩くレノを見てAも気にせず総統室へと向かう。
総統室前でノックすれば低い声が聞こえた。
「入れ。」
「失礼します」
「目が覚めたんだな。」
「ええ、おかげさまでね。で、あれからどうなったの?兄さんから聞いた話では革命は成功したみたいだけど」
グルッペンはAの訪問に驚きもせず眉を上げた。長年の付き合いであるAはその表情に上機嫌だということが感じられた。
「そう急かすな。話は追ってする。それより…随分と懐かれたものだな」
グルッペンの先にはレノ。レノはグルッペンの圧にAの背中に隠れる。
「可愛いでしょ?」
「…あぁ。あいつに飼われていた者達は皆、お前に会いたがっていたぞ。」
「?」
「革命を導いた女神だと。さすがだな」
「そんな大袈裟な…」
「何を謙遜しているんだ。お前が始めた革命だろう?死者こそ出たが戦争は終わった。β国の敗北だ。今は新たな国のあり方を見出すために我が組織が管理しているゾ。それから飼われていた者達は一通りうちで預かることにした。使えそうな者も多いしな。」
彼の視線の先にはレノがいた。
「そう…グルッペンの下なら悪いようにはされないわね。安心したわ。」
「で、無事にβ国を崩壊させたが…お前はどうするつもりだ?」
帰る家も存在すべき場所もない、とグルッペンは言いたいのだろう。Aはそのようなニュアンスを含めた質問に笑って答える。
「旅でもするわ…。貴族である私がβに居続ける訳にも行かないし、これ以上グルッペンのお世話になると後が怖いもの。」
「む。失礼なやつだな。」
「やっと自由になれたのよ?羽を伸ばしたっていいじゃない」
「それもそうか…。準備ができるまではうちにいるといい。昔の恩を今返させてくれ」
「忘れてくれたっていいのに」
Aとグルッペンは顔を見合わせて笑った。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…!拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…! (2019年11月27日 21時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん!コメントありがとうございます!労いのお言葉まで…!最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます!!( ;∀;)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました! (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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