＊ハルシャギク ページ17
レノはAが目覚めても彼女の側を離れようとはしなかった。それには鬱もお手上げだったが、Aの一言で離れるきっかけとなる。
「そういえばあのエメラルドの瞳を持った男と兄さんは知り合いなの？」
「あぁ。エメラルドって緑のパーカーのゾムさんやろ？ここの幹部やで」
「幹部だったのね…」
「なに気になるん？そろそろゾムさんも面会に来ると思うで」
それを聞いたレノは顔を真っ青にする。
「あのひと…にがて…わたしちがうところにいってくる」
「お風呂に入ってご飯を食べて、ゆっくり休んでね」
「風邪ひかんように頭はしっかり乾かすんやで〜」
鬱とAに再度ぺこりとお辞儀をして医務室を後にするレノ。レノの姿が見えなくなったところでAは話を戻す。
Aの瞳が、鬱に期待の眼差しを向けている。鬱はその顔を見て嫌な予感がした。
「あのね、鬱兄さん」
「なんやすごい嫌な予感がする」
「そのゾムって人のこと教えてほしいの」
鬱は素直に珍しいなと思った。自分の妹は他人へ興味を持ったとしてもそれを表にだすことはあまりない。何かあの二人に面識があったか、と疑問に思う。Aは機嫌よさそうに鬱の回答を待っていた。
「何でゾムのこと気になるん？会ったのあれが初めてやなかった？」
「あの人、王宮にもいたよ。あの瞳を間違えるはずないもの」
「さすがに見間違いちゃうか…？」
「見間違いちゃうで」
「ヒィッ！！」
鬱がビクンと肩を揺らす。その反応にケラケラと笑いを上げるのは話題の中心だったゾムである。
「大先生の妹目覚めたんやな！」
今はフードを被っておらずチョコレートブラウンの癖毛がところとごろ跳ねている。ケラケラと笑う口からは人より尖った歯が隠されず見えた。そして綺麗なエメラルドの瞳がAを直々に捉えている。
「やっぱり私が正しかったわね」
Aは満足そうに笑った。大先生の反応にひとしきり笑ったゾムは鬱とAを交互に見る。
「みんな似とらんって言っとったけど、大先生とあんたの瞳はそっくりやな」
そうやって歯を出して笑うゾムにAは言葉を返せなかった。自分の容姿がそれなりのことは自覚していた。しかしそれを褒めるのではなく、兄と自分が似てるという彼は、本当の自分を見てくれた気がしたのた。
「…危ないところを助けていただきありがとうございます」
Aの出た唯一の声は、兄である鬱曰く最高潮の猫被り声だったらしい。
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鳩山(プロフ) - ろわ。さん» コメントありがとうございます…！拙い文章でしたが楽しんでもらえたなら幸いです。嬉しいお言葉本当にありがとうございます…！ (2019年11月27日 21時) (
レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ろわ。(プロフ) - 完結おめでとうございます。最後の結婚式のシーンでは私までut先生みたいになりました...。とても素敵な作品をありがとうございました。 (2019年11月22日 2時) (レス) id: a9da82584b (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ロアさん» ロアさん！コメントありがとうございます！労いのお言葉まで…！最後まで読んでくださって本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 13時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 完結おめでとうございます！！( ；∀；)お疲れさまでした (2019年11月21日 8時) (レス) id: 148e7f1d83 (このIDを非表示/違反報告)
鳩山(プロフ) - ウルさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいお言葉、そして完結まで読んでいただき本当にありがとうございました！ (2019年11月21日 6時) (レス) id: 55161d9c8c (このIDを非表示/違反報告)
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