【d!】アキレアの祝福を【企画】 (ページ43)

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覚悟なんて後付けが丁度いい rbr （鳩山）ページ43

新兵の集う食堂にて温かく身に染みるご飯を頬張る。もぐもぐと口を動かす私を見て話しかけてきたのは軍事学校からの同期のショッピだ。

「それでAは上官とのご対面はどうやったん」

彼の何気ない言葉に眉毛がぴくりと動く。口に入れた食べ物を咀嚼してごくりと飲み込み、少し声のトーンを落として正直な気持ちを吐き出す。

「…ロボロ隊長ってチビで弱そうだなと思った」
「ほー。さすがは今期の首席。上官相手に言うなぁ」
「私より20cmぐらい小さいし、その割には腹立つぐらい声でかいし…幹部といっても通信兵だよ。絶対弱いと思う」
「………あ、」
「それに聞いてよ。あのチビ隊長初手に私を睨みつけてきたの。女だからって絶対舐めてる。」

溢れ出る愚痴は止まることない。

「軍地学校では首席だった私への当て付けなのか！？私だって配属先は、通信兵なんてショボい部署じゃなくて、最前線が良かったのに…！ねぇ、さっきからちゃんと聞いてるの？」

私のマシンガントークに嫌気が差したのかは知らないがショッピは目を合わせようとしない。まるで私の背後に見えてはいけないモノが見えているかのようにその後ろをずっと見つめている。

「もうなによ…私の後ろに何かいるって……いうの…」

笑いながら首だけ回す。一般兵用の食堂のはずなのに私の後ろには、冷えた笑みを浮かばせ、目の座ったロボロ隊長がそこにいた。
食堂の温度が三度ほど下がる。

「あ、はは…ろぼろ隊長…ご、機嫌よう」
「あはは。よぉ新入りさん。奇遇やなぁ。そんでさっきまで楽しそうにしとった話続けてや。チビ隊長が…何やって？」
「あはははー……」
「ははは。」

乾いた笑い声がこだまして、彼はどかりと私の隣へ座った。何故横に座った？という疑問に答えてくれるつもりはないらしい。

「俺から一つ言わせてもらうとな。身長高いだけの木偶の坊は通信兵にはいらん。まあ、Aさんは学生時代は身体能力の良さから首席やったみたいやし？それはそれは、さぞかし、うちの部隊で活躍してくれるんやろうなぁ。あー楽しみで仕方ないわぁ！！」

ロボロ隊長の目は笑っていない。しかし気持ちが悪いくらいに口角は上がっていた。完全にキレている上官に私は曖昧に笑って「はい、隊長。精進します」と小声で返す他なかったのであった。

互いの第一印象は最悪。学生時代首席の私と、軍人であるのにも関わらず小柄な部隊長の出会いはここから始まった。