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橋本に近づき、もう一度声をかけようとする。しかし、寝ている彼女の下にある紙が目に入り、やめた。

(これは……)

その紙は、どうやら献立表のようだった。よく見ると、そこには料理名だけでなく、使う食材が書かれていた。しかも食材は、家庭科でやったような3つの食品群に、しっかり分類分けされて書かれていた。

そういえばここ3日間の食事を振り返ると、メニューが全部違うだけでなく、とてもバランスが良かったように思える。おそらく、栄養価が偏らないよう、ちゃんと計算していたのだろう。

紙から橋本に視線をやると、つい先ほどまで書いていたのか、彼女はシャーペンを右手に持っていた。

(……ここまでしっかりやっているとは思わなかったのだよ)

正直、甘く見ていた。こちら側からヘルプを頼んでおいてなんだが……。でもたしかに、あれだけの人数分の食事をほぼ1人で作って、片付けて、献立を考えて買い出しに行っている……のに加え、写真部の活動もしていると考えると、なかなかハードな作業だということに気づく。

俺は橋本の背中に左手をやり、声をかけた。

「橋本、起きるのだよ」

先ほどまで若干苛立っていたが、彼女の努力の端を見て、苛立ちが和らいだため、棘のないトーンで言う。

「ん……」

俺の言葉に気づいたのか、少しだけ反応して瞼がキュッとなるが、すぐに脱力し、橋本は再び心地良さそうに寝てしまった。

(はぁ……仕方がないのだよ)

俺はため息をついて、彼女を起こすことを諦めた。

意を決した俺は、なんとかして彼女を抱き上げた。そして、机の上の、彼女が書いた献立表も忘れずに回収し、彼女が泊まっている部屋へと運んだのだった。

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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時

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