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合宿3日目。例のごとく、体育館へ橋本が持ってきた昼食を食べる。すると、高尾がこんなことを言い出した。
「Aちゃんってさー、ちゃんと毎回メニュー変えてくれるじゃん。なんかこういうの経験あんのかな?」
言い終えてから高尾は、昼ごはんのチヂミを手で摘んで口に入れる。
「こういうのって、どういう経験なのだよ」
「ん〜、1週間分の献立考えるとか?でも初日にさ、おにぎりの塩加減わざわざ変えるとかしてたじゃん。ならマネージャーやってたとかもありえるよね〜。うめーこのチヂミ!」
雑談をしつつも、次から次へとチヂミを口へ運ぶ高尾。そんなに食べては俺の分がなくなるのだよ。
「どうだろうな。そんなに気になるのならば、本人に聞けばいいのだよ」
そう言って俺もチヂミを右手でつまんで、食べたのだった。
今日で誠凛高校との練習試合は最後だった。今日までで全3回行った練習試合、全て秀徳が勝ったものの、奴らはインハイ予選決勝よりも、確実に手強くなっていた。
(末恐ろしい高校なのだよ……)
部屋に戻りながら、そう考える。
ちなみに昼間に話題に関して、夕飯時に高尾が聞くかと思っていたが、全く触れなかった。
そして、そのまま夕飯を終え、風呂も入り終えた。
今は、風呂場から部屋に戻っている道中という訳なのだが……
「……ん?」
すると、いつもこの時間は暗くなっているはずの場所、台所の電気が付いてるのが見えた。不思議に思い覗くと、そこには橋本Aがいた。
シンクやコンロの台から離れたところに、椅子と机があるのだが、彼女は椅子に座り、机に突っ伏して寝ていた。
(電気代の無駄なのだよ……)
「おい、橋本、起きるのだよ」
入り口あたりから声をかけるが、なかなか起きる気配がなかった。そのため、俺は台所へ入って、起こしに行くことにした。
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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時