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梨花の答えに、思わず耳を疑う。

「は?今、緑間くんって言った?え?」

あまりに驚いた私がそう聞くと、さらに梨花は顔を真っ赤にして頷いた。

「マジで……?」

もう意外とか、そういう問題じゃない。

「……いつから私らの好みのタイプ、変わった?」

私は真顔で呟く。そんな私に梨花は今度は怒りで顔を赤くした。

「もうー!お姉ちゃんのバカ!お姉ちゃんがもし緑間くん好きってなっても、絶対絶対譲らないんだからね!」

「絶対ないから、安心して」

私は表情を崩さずにそう返した。しかし、梨花は完全に膨れてしまっている。その様子が可愛くて、思わず笑ってしまう。

「ふふっ」

「お姉ちゃんが久しぶりに笑ったと思ったらこれ!?うー!」

「ごめんごめん、つい。それで、緑間くんには言うの?」

私は梨花に問う。

「……うん」

それまでのオーバーなリアクションが嘘かのように、小さく頷いて答える梨花。

「そう。がんばってね」



















『そう。がんばってね』

私にそう言った時のお姉ちゃんは、今まで見てきた中で一番優しげで、美しい笑顔をしていた。


実は、今までずっと私は中学の頃の、鈴木くんとお姉ちゃんのことを引きずっていた。お姉ちゃんから直接聞いたわけではないんだけど、たぶん彼のお姉ちゃんへの返答は、ひどいものだったんだと思う……。
そういえば、お姉ちゃんの笑顔が少なくなってしまったのは、あの時からかもしれない。

それだけじゃない。私が好きな人の話をしてるとき、なんとなくお姉ちゃんが傷ついてるような、そんな気がしていた。

だけど、お姉ちゃんは私に全然弱みを見せない。そんな所がカッコいいと思うし尊敬してるけど、時々お姉ちゃんが壊れてしまうんじゃないかって思う時もある。

でも、この緑間くんへの気持ちは譲れなかった。また、お姉ちゃんを傷つけてしまうかもしれない。
そう思っていたけれど、思いの外あっさりしていたし、逆に応援されてびっくりした。

(告白……成功するかなぁ)

私は、夏休みの間に緑間くんに想いを伝えるつもりだ。

(おは朝占い、一位の日ならもしかしたら……)

私はそんなことを考えながら、告白までの期間を過ごしていたのだった。

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作者名:ぷよぷよぷよん♪ | 作成日時:2022年5月10日 16時

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